欧州自動車市場、BEV・PHEVが市場シェア大幅拡大 ガソリン・ディーゼル縮小

2021年2月9日 08:22

 新型コロナ感染症の影響で未だ欧州の自動車市場は大きく停滞している。しかし、その中で各車種のシェアは旧来のガソリン、ディーゼル車からBEVやPHEVへ大きくシフトしているようだ。

 2月3日、世界的な自動車産業の調査機関であるJATOの日本法人が欧州の自動車市場についての最新レポートを公表した。レポートによれば、欧州の新車市場は、年末からのパンデミックの影響を受け、年後半はさらなる落ち込みとなった。欧州27カ国のデータでは、20年12月の台数は前年同月比3.8%減の121万2858台、これは11月の減少よりも小さな減少となっているが、通年の累計販売台数は24%減の1194万1633台となり年間の落ち込みを大幅改善するまでには至らなかった。

 JATOのグローバルアナリストであるFelipe Munoz氏は「業界は2019年の最後の数ヶ月ですでに衰退の兆しを見せていたが、新型コロナウイルスの感染拡大は、これらの既存の傾向を加速させた。消費者が車を購入できないロックダウン状態にあることから、市場は前例のない環境に移行しているのだ」と指摘している。

 12月の販売台数の落ち込みは、感染者が急増したイタリア、フランス、イギリスでSUVが2桁の大幅な減少となったことに起因している。BEVやPHEVが大幅に増加したにもかかわらず、ディーゼル車やガソリン車の販売台数が伸び悩んだことに加えて、需要自体が大きく減少したため市場全体では減少傾向が続いている状況だ。

 秋に好調の兆しを見せたSUVは12月、前年と比較するとそのマーケットシェアは41.7%から40.2%に縮小している。販売台数は48万7560台でサブセグメントとして最大であるコンパクトSUVの11%減に続き、7.2%の減少となった。背景としては、欧州各国の政府による新たな電動化の推進により、市場の関心がSUVから遠ざかっていて、特に購入可能なSUVのピュアEVがまだ非常に少ないことが挙げられる。

 ガソリン車とディーゼル車の需要はそれぞれ23%減少、BEVとPHEVの需要が27.1%増加したのとは対照的となった。この結果、電気自動車とディーゼル車のギャップは縮小し、BEVとPHEVを合わせたシェアは24.1%に達し、ディーゼル車は24.7%とほぼ同程度となっている。電気自動車が市場全体の6.3%に過ぎなかった19年12月と比較すると、20年に大きなシェア構造の変化が起きたことを意味している。(編集担当:久保田雄城)

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