【どう見るこの相場】個人投資家の日米格差は「トリプル・ブルー株」、「ダブル・ブルー株」でリプレース

2021年2月1日 09:45

 米国の個人投資家のいわゆる「ロビンフッダー」が、またまた存在感を発揮しているようである。各メディアが種々報道している。それによると、「ロビンフッダー」は、ヘッジファンドが売り込んだ新興市場株に対してオンライン掲示板「レディット」で互いに買い向かうことを呼び掛けて、ヘッジフアンドを締め上げ相次ぐ株価急騰を演出しているという。

 ヘッジファンドは、踏み上げさせられ買い戻しを余儀なくされ、その損失の穴埋めのために保有する主力株の売却を急ぐと警戒され、前週末29日にダウ工業株30種平均(NYダウ)が、620ドル安と急反落してフシ目の3万ドルを割った。このSNS(交流サイト)を武器にした「ロビンフッダー」の株取引が、不正行為の共謀や株価操縦に該当するのか、それとも富の偏在に鉄槌を下す格差是正のための個人投資家の反抗か、証券界や議会を巻き込んだ議論に発展し、米証券取引委員会(SEC)が調査を開始したと伝えられた。

 この売り方を締め上げて株価を急騰させるいわゆる仕手相場など、最近はわが兜町でとんとお目に掛からなくなった。肝心の仕手本尊が、風説の流布や株価操縦、脱税などで次々とお縄になって塀の中に落ち息の根を止められ、しかも「失われた20年」が追い討ちを掛けたからだ。果敢にチャレンジするエネルギーが残っているとは期待薄である。ところがである。昨2020年初頭の世界同時株安相場を思い起こしていただきたい。わが「巣ごもり投資家」と呼ばれた一群の個人投資家は、急落相場に逆向かいしてV字反騰をリードし、米国の「ロビンフッダー」と同様の存在感を発揮した。近来、稀にみる快挙であった。

 それが、今年に入ってからは存在感が希薄化している。昨年の投資資金の原資となった一律10万円の現金給付が望み薄となっているからか、東京市場の個人投資家は、米国のロビンフッダーとは異なり元の木阿弥ならぬイナゴ投資家、ゴミ投資家に逆戻りしたかのようだ。現に高値に飛び付き買いしてハシゴを外されるなど振り回され、振るい落とされるケースも多いのではないかと推定されるのである。

 その端的な代表が、今年1月28日に今3月期業績を上方修正し配当も増配した主力ハイテク株のアドバンテスト<6857>(東1)、SCREENホールディングス<7735>(東1)、東京エレクトロン<8035>(東1)の29日の株価動向である。大手証券の目標株価引き上げなどで煽り立てられ買い物を集めて高値を追ったが、引けてみれば大幅安となり、東エレクに至ってはザラ場高値から3000円超安と急落し、これが単なる高値での振るい落としで再騰含みなのか目先調整局面入りか判断に迷うところである。

 しかし個人投資家がもう一度、存在感を主張しリプレースできる余地はあるはずである。折から3月期決算会社の第3四半期業績の発表が進行中である。そこで提案したいのが、業績の上方修正を発表した銘柄の中から「ダブル・ブルー」、「トリプル・ブルー」などの銘柄に的を絞る方法である。「トリプル・ブルー」とは、過日の米国大統領選挙で、民主党が大統領選挙、上院選挙、下院選挙ですべて勝利したことを指しているが、決算開示でも業績の上方修正と増配、自己株式取得などの好材料を同時に発表した銘柄で、しかも市場の中心からやや外れ割安水準に放置されている銘柄である。なお兜町では、買いは赤伝票で注文することになっているから、本来は「トリプル・レッド」、「ダブル・レッド」としなければならないところだが、ここは敢えて米国の新政権にあやかることとした。

 試金石になる銘柄がある。アサヒホールディングス<5857>(東1)だ。同社株は、前週末29日大引け後に今3月期業績の再上方修正と再増配、株式分割を同時発表し、株価もわずかPER6倍台と割り負けている。週明け1日の同社株の初動株価で今年1月25日につけた上場来高値4390円を上抜くようなら、「ダブル・ブルー株」、「トリプル・ブルー株」の見直しが強まる展開も想定され、個人投資家が、日米格差を修正し存在感を再発揮する好機となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

関連記事

最新記事