カーボンニュートラルは実現するのか
2021年1月20日 08:49
●バイデン新大統領就任で脱炭素化の流れが加速!?
バイデン次期米大統領の就任式が20日に迫っているが、トランプ政治からの転換が期待される。就任初日に10を超える大統領令に署名すると見られている。
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その目玉の1つが、地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」への復帰だろう。パリ協定はトランプ氏が離脱したが、「再び世界を主導する」と宣言している。
化石燃料重視だったトランプ政権から大きく転換することになるが、長年カーボンニュートラルを目標に掲げてきたEUに加え、日本では菅首相が2050年までに、中国も2060年までにカーボンニュートラルを目指すと宣言して、歩調を合わせる形になりそうだ。
●カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラル(気候中立)とは、地球上の炭素(カーボン)の総量を守り、二酸化炭素(Co2)の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロの状態になることを目指すことである。
本来、炭素(C)は生物の呼吸や有機物の燃焼などによって、Co2として排出されるが、植物や海がCo2を吸収する。化石燃料の使用で排出が多くなり、吸収量を大きく上回ってしまう。
それをバイオマスエネルギーや太陽光発電、CCS(二酸化炭素回収・貯留)利用によって、元のバランスに戻そうというのがカーボンニュートラルである。
●カーボンニュートラルによって、パリ協定が実現!?
パリ協定は世界の気温上昇を、産業革命前に比べて2度未満、できる限り1.5度未満に抑えることを目標としている。
Co2の削減が各国進み、カーボンニュートラルの状態にすることでパリ協定もおのずと実現するという楽観的な見方もある。だがバイオマスエネルギーにしても、太陽光発電にしても、製造・運搬の過程でCo2を排出するため、その排出を考慮すればカーボンニュートラルは実現しないという見方もある。
日本も含む先進国各国が、ガソリン車の廃止などでEV(電気自動車への)シフトも掲げているが、それによる電力需要の増加をバイオマスや太陽光などの再生可能エネルギー賄えるのかという不安もある。
脱炭素化の流れは継続されるだろうが、シナリオ通りにはいかないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)