三菱自動車、1Qからは回復基調もコロナによる世界的な自動車需要の低迷で上期は減収減益

2021年1月18日 16:12

2021年3月期第2四半期決算説明会

加藤隆雄氏(以下、加藤):みなさま、こんばんは。本日は2020年度上期及び第2四半期報告会にご参加をいただき誠にありがとうございます。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、過去に例がないほど大きく低迷しスタートした2020年の世界経済は、徐々に回復の兆しが見え始めてきましたが、一部地域では再び感染が拡大し、抑制に向けた制限措置が導入され始めています。

このように、我々を取り巻く環境はいまだに厳しく、不透明な状況となっていますが、第1四半期に発表しました構造改革は計画に沿って粛々と進捗しています。本日は、2020年度上期及び第2四半期実績に加え、構造改革の進捗状況についてもお話をします。

2020年度上期 業績サマリー【前年同期比】

池谷光司氏:池谷です。3ページをご覧ください。まず、2020年度上期及び第2四半期業績サマリーですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による世界的な自動車需要の低迷から、売上高は5,749億円、営業利益はマイナス826億円の損失となりました。また、経常利益はマイナス870億円の損失、当期純利益については、主に第1四半期に計上しました減損等により、マイナス2,099億円の損失となりました。販売台数は、グローバルで35万1,000台となり、対前年で41パーセント減少となりました。

なお、第2四半期の7月から9月期ですが、実績は売上高は3,454億円、営業利益はマイナス293億円の損失、経常利益はマイナス283億円の損失、当期純利益はマイナス337億円の損失、販売台数は21万2,000台となりました。第1四半期から第2四半期にかけて収益の回復基調が確認できましたが、依然厳しい状況が続いています。

2020年度上期 営業利益変動要因分析【前年同期比】

4ページをご覧ください。前年上期と比較した営業利益の変動要因はご覧のとおりです。台数、車種構成では、先ほどお伝えしたとおり、全世界的な経済活動の停滞の影響を受け、すべての地域で減少し、その影響はマイナス937億円にのぼりました。

販売費用は、販売台数減少に伴う費用の抑制効果により71億円の好転となりました。コスト低減等は、国内外の工場においての計画的な生産調整の影響を受け、コスト低減が進みませんでした。

為替ですが、コスト通貨であるタイバーツでの好転はあったものの、全体的に円高基調となった結果、前年比で11億円の悪化となりました。研究開発費については削減に務め、前年比142億円の好転となりましたが、販売台数減少に伴うアフターセールス損益の悪化92億円などによって、その他項目の合計では36億円の悪化となりました。

2020年度上期 販売台数実績【前年同期比】

5ページをご覧ください。世界の自動車需要は、先進国の一部では回復の兆しが見え始めているものの、当社販売は、主にアセアンの需要回復の遅れを主因として、前年同期比で41パーセント減の35万1,000台となりました。

主力のアセアンは回復基調にあるベトナム、タイ、活動制限が依然続いているインドネシア、フィリピンとそれぞれの国ごとに異なる状況ですが、全体的に厳しい状況となっており、その影響を大きく受けた結果、前年同期比で53パーセント減の7万1,000台となりました。

オーストラリア、ニュージーランドについても、ロックダウンは段階的に解除されてきましたが、自動車操業の回復は緩やかで、当社販売も33パーセント減の3万台です。日本においては、新型コロナウイルスによる経済への影響は収束しつつありますが、当社の主力セグメントにおける需要の回復は上期では見られず、48パーセント減の2万7,000台となりました。その他の地域においても、前年同期比でいずれも30パーセント超の減少といった厳しい状況になりました。

2020年度 通期業績見通し及び予想配当

次に、2020年度の業績見通しについてご説明します。7ページをご覧ください。先に述べましたとおり各国の経済活動は順次再開されていますが、完全終息が見通せない中でいずれも段階的な再開にとどまっており、正常化に向かう道筋は不透明な状況です。このような環境下において、当社は2020年度第1四半期決算発表の際にご説明しましたとおり、第1四半期をボトムに下期に向けて徐々に自動車販売の回復が確認され、2020年度末には2019年度末程度まで自動車需要が戻ってくるといった前提のもと、2020年度の業績見通しを策定しました。

上期は、特に当社の主力地域であるアセアンの回復状況が鈍く、売り上げ、それに伴う利益も新型コロナウイルスの影響を受け軟調に推移しましたが、期初に計画していましたコスト構造改革や在庫削減については、計画どおり進めることができました。新型コロナウイルスの第2波、第3波の拡大と先行き不透明な状況ではありますが、コスト構造改革は順調に進捗していますので、業績予想については据え置きとします。

2020年度 営業利益見通し変動要因分析【前年度比】

8ページをご覧ください。2020年度通期見通しは変更しませんが、一部変動要因の見直しを図りました。台数、車種構成に関しては、アセアン各国が全需の見通しを引き下げるなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済の停滞影響が長引くことを想定しています。

一方で、欧米など先進国の回復基調は想定以上のスピードで進捗しています。それぞれの状況変化を慎重に検討しましたが、変動要因に深刻な影響を起こさないと見通しています。

為替影響に関しては、お示しのとおり各国の通期レートを足元の市況環境に合わせて見直しました。その結果、通期の為替影響は前年度比で20億円の悪化を見越しています。

地域別販売

加藤:次に地域別販売について説明します。10ページをご覧ください。2020年度第1四半期は、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞の影響を受け、グローバルでの自動車販売は大幅に減少しました。その後、第2四半期には各国のロックダウンも徐々に緩和され、主に先進国と新興国の一部では需要の回復が顕在化していきました。

一方で、欧州を中心に第2波が猛威を振るっており、先の不透明感が再び強まってきています。そのような厳しい環境下ではありましたが、当社はディーラーネットワークの強化やデジタルマーケティング強化といった販売の改善、在庫削減等、将来の販売拡大に着実につながる施策を最優先に実行していきました。これら施策はほぼ計画どおりに進捗しています。

当社の上期販売状況は厳しい結果となった地域がある一方、想定以上の販売となった地域もあり、結果として、全体では概ね計画どおりに推移しています。通期販売については、当社の主力地域であるアセアン等、市場の回復が遅れている地域に関して、総需要見通しに併せ販売台数見通しを引下げ、総計で期初見通しの84万5,000台から82万4,000台にしました。

構造改革の進捗

次に、構造改革の進捗状況について説明します。12ページをご覧ください。お示ししているとおり構造改革はいずれも計画、もしくは計画以上のスピードで進捗しています。また、構造改革に関わる費用の大半も今年度中に計上できる見通しです。

固定費削減については、新中期経営計画で、2021年度に2019年度比20パーセント削減の目標を掲げましたが、新型コロナウイルスの影響による特殊要因はあったものの、施策の前倒しにより上期実績で前年比20パーセントの削減となりました。

年度トータルでも、諸施策による効果を前倒しで取り込み、今期目標はオーバー達成できる見通しです。具体的な実施状況は、まず間接員労務費については人員適正化、再配置、新規採用抑制、希望退職制度、報酬制度見直しはいずれも計画どおり進捗し、計画を達成できる見込みです。

マーケティング費用に関しては、選択と集中の基本概念に沿ってノンコア地域の費用を抑制し、その一部をコア地域に集中投下することにより、費用対効果を向上させると同時に、全体予算の削減を実現しました。

減価償却費に関しては、第1四半期に発表したとおり、固定資産の減損処理を通じ、昨年度比12パーセントの削減が見込まれます。開発費も同様に、ノンコア地域向けの開発費用を削減し、その一部をコア地域に集中投下することにより、当社の戦力に沿った商品開発が実現できる体制を整えました。これにより、昨年度比13パーセントの削減を見通しています。

生産体制再編に関しては、7月に発表したパジェロ製造株式会社の生産停止と、概ね計画どおりに進捗しており、全体の稼働率向上及び減価償却費の削減が見込めます。一般管理費については、旅費、外部委託費を主とする経費削減や、子会社等の本社オフィスビルへの集約など、あらゆる項目での削減が想定以上に進み、大幅な削減が期待できます。

新車投入

13ページをご覧ください。この7月にお話ししました今中期経営計画期間中で集中すべき事柄の中に、当社が得意とする環境技術の促進と当社の遺伝子である4WD技術、オフロード性能の進化を通じ、安心感と魅力のある製品をお客さまにお届けすることがあります。

また、先日発表しました新環境計画パッケージ内において、PHEVを中心とした電動化の推進を掲げています。これらの計画に沿って、本下期にPHEVモデルを含む「新型エクリプス クロス」をグローバル市場に順次投入します。

また、徐々に厳格化しつつあるアセアンにおいての環境規制に備えるため、「アウトランダーPHEV」のアセアン各国での販売を順次展開していきます。さらには、タイにおいて「アウトランダーPHEV」の生産を12月より開始します。当社は今後も計画に沿って、技術開発及び環境対応モデルラインナップの拡充を行います。

グローバル自動車需要は先進国を中心に徐々に回復してきており、正常化に向けて一歩踏み出したように見受けられます。しかしながら、足元の欧州を中心に新型コロナウイルスの第2波、第3波の感染拡大が広がっており、一部では活動制限等も再開しているように聞いています。

また、アメリカの大統領選挙結果の影響など、先々の不透明感が払拭されたとは言い難い状況が続いています。そして、当社にとって最も重要なアセアンの回復ペースは相対的に鈍く、みなさまには大変ご心配をおかけしていることと思います。しかしながら、この不透明な現状に対応するためにも、選択と集中を柱とした構造改革を確実に実行し、業績回復の土台をしっかりと作ることが最優先事項と考えます。

この認識のもと、本上期は施策の実行に集中してきました。その結果、当初予定していた以上に改革は進み、今後の収益改善への道筋は徐々に見えてきました。引き続き、まずは今期の経営計画を確実に達成することに全社一丸となって取り組みます。

そして、言うまでもなく、先行きの不透明感や基盤となる財務の安定性にも配慮しながらこの難曲を乗り切り、すべてのステークホルダーのご期待にお応えをしていきたいと考えています。引き続きご支援のほどお願いします申し上げます。ご清聴ありがとうございました。

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