軽い「緊急事態宣言」? 「みんなで渡れば怖くない」なら都道府県知事の見識はどこに?
2021年1月15日 16:52
7日、新型コロナウイルスの感染拡大に対して2度目の緊急事態宣言が、首都圏1都3県(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)に発令された。2月7日までの1カ月間、飲食店に対して休業、営業時間の短縮を求めることを目玉としている。
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緊急事態宣言が、飲食店に対して過大な負担を求めるものであることは明白だが、まるでバスに乗り遅れまいとするかのように、その後も緊急事態宣言を求める府県が急増した。13日には、大阪府、京都府、兵庫県、愛知県、岐阜県、栃木県と福岡県の合計7府県にも宣言が発令された。
ちなみに大阪府の吉村知事は、4日に「大阪は感染の急拡大にはなっていない」と語っていたが、5日後には緊急事態宣言の要請へと舵を切っていた。
菅首相が東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県への緊急事態宣言発令に踏み切った際には、「とにかく遅すぎる」という声がマスコミを通して流されたが、5日間で方針を変更した吉村知事にはどんな評価が下されるのだろう。
新型コロナウイルス感染症に対しては疑問が多い。
1.中国で新型コロナウイルスのものと「推定」された遺伝子配列が、第3者によって正式に「確認」されたのかどうか不明なこと。
2.PCR検査は「推定」された遺伝子配列の一致を確認して「PCR検査陽性者」を判別するだけで、新型コロナウイルスへの感染を診断するものではないこと。「PCR検査陽性者」と感染者はイコールではないこと。さらに検査結果には偽陽性や偽陰性が含まれているため、検査自体の信頼性に疑問が否めないこと。
3.微細な遺伝子配列を増幅させる回数(Ct値)が国際的に不統一で、日本で設定されているCt値40~45が過大だとの異論があり、「PCR検査陽性者」が過剰に算出されている可能性があること。
4.PCR検査を発明してノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリス博士が、講演で再三「PCR検査を感染症の診断に使ってはならない」と警告していたと伝えられること。主旨は「どんな結果も導き出せる」ということのようだ。
世界中でPCR検査が標準のように行われているのは、当初WHOが「とにかく、検査、検査で焙り出せ」と号令を掛けていたことによるが、もっと冷静にPCR検査に向き合う姿勢は必要だろう。
日本でも検査体制が徐々に整備され検査対象者は大きく拡大してきた。日本に一定割合の「PCR検査陽性者」が存在していると仮定すると、検査対象の増加に比例して陽性者が増えるのは当然だ。
おまけに、当初から「インフルエンザと同様に、冷涼で湿度が低下する冬季間に感染が拡大する」という懸念があったのだから、今の時期に「PCR検査陽性者」が増加することは、数学的にも、季節的にも当然の現象である。
それを、陽性者と感染者とを混同して、感染者の増加が続いていると危機感を煽るマスコミの姿勢は、常軌を逸していると考えるべきだ。
こうした問題点を知ってか知らずか、多くの都道府県知事が劇薬のような「緊急事態宣言」を求める姿勢には、「みんなで渡れば怖くない」風の安直さを感じてならない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)