コロナ禍で個人情報の利活用への理解進む 「不安」と「期待」が同程度に

2021年1月6日 08:51

 「コンピュータ、データ無ければ、ただの箱」などと詠まれたこともあった。AI(人工知能)はビッグデータ(膨大な情報)があって初めて機能する。AIとはビッグデータを深層学習する(即ち大量のデータ群の中から法則性を見つけ出す)アルゴリズムのことだ。AIは、個人の同定があるか否かにかかわらず個人情報をも含むデータ、即ち「パーソナルデータ」の取り扱いに関するガバナンス(情報の利用に関する合意形成と共有)が前提となって初めて有効な活用が可能となる。

 しかし、日本においては個人情報の活用について高い期待を持っている一方で、またその取り扱いについては大きな不安を持っている者も多い。しかし、コロナ禍の感染予防でのAI利用と関連し、パーソナルデータ利活用に関する不安感の低下が見られるようだ。

 これに関連し、日立製作所が2020年10月上旬、全国の20から60代の男女1030名を対象に「第五回 ビッグデータで取り扱う生活者情報に関する意識調査」を実施、その集計結果を12月22日に公表している。

 これによれば、パーソナルデータの利活用に対する生活者の期待と不安の比較は、「期待と不安が同じくらい」が最も多く増加傾向だが、「不安が大きい」が減少し、なかでも、高齢者層の減少が顕著となっている。不安の要因は前回調査と変わらず「拒否権がないこと」や「活用目的の説明・公表が不十分」が多くなっているが、その回答割合は低下している。

 新型コロナウイルス感染拡大防止対策のためのパーソナルデータ利活用については、8割以上の者が期待していると回答しており、特に接触・近接や位置情報を活用した接触予防に期待が寄せられている。しかし一方で、行動追跡を伴う対策についてはプライバシーに懸念を覚える傾向も存在する。コロナ禍でパーソナルデータの活用についてマイナス面よりプラス面を多く感じるようになった者が増えたのは確かなようだ。

 また、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を実践する人は、ITを用いた感染拡大防止対策への参加度が高いだけでなく、感染症拡大防止対策以外のデータ利活用への期待も高いという相関もみられた。

 企業等に求められるプライバシー保護施策については、「データの最小化」「目的の正当性及び明確化」への期待が大きく上昇している。これら利用範囲など「データ活用ルールの明確化」が生活者の不安低減のポイントになると考えられる。(編集担当:久保田雄城)

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