燃料電池車はMIRAIが始まり! 水素エネルギーを進めるトヨタが目指すものは?
2020年12月19日 08:47
トヨタ自動車は12月9日、燃料電池車MIRAIをフルモデルチェンジし、販売を開始した。翌日の10日には、Toyota Motor North Americaが燃料電池大型商用トラックのプロトタイプを公開。トヨタでは乗用車のセダンだけでなくFCシステム(燃料電池システム)を使った乗り物として、トラックやバスへの活用も目指している。
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最新技術を投入したクルマの登場で世間を大きく賑わしたのが、1997年に登場した世界初の量産ハイブリッド「プリウス」の登場だろう。そして、ハイブリッドがメジャーになってきた2014年には、またしても量産車世界初となる燃料電池車「MIRAI」を発表した。
ハイブリッドは世界中で開発され販売が加速しているが、燃料電池車の量産車開発を行うメーカーは、国内ではトヨタとホンダぐらいしかない。これは、燃料である水素を補充する水素ステーションの問題が大きいことが挙げられるが、他にも、電気で走るなら水素など使用せずに、太陽光や風力での発電に力を入れたほうが良いと考えている向きも多いからだ。
たしかに、MIRAIの登場は驚きでもあり、販売台数も当初のトヨタの目標をかなり上回ってはいる。そして2代目MIRAIは、エクステリアデザインも評判が良く、しかも走りも洗練されており「欲しい」と感じた人も少なくないはずだ。
他のメーカーでは、FCシステムのクルマの開発を聞かないが、これほどまでにトヨタがFCシステムの開発に力を入れるのは、MIRAIのような乗用車ではなくトラックやバス、そして鉄道を視野に入れているからだ。
例えば、ハイブリッド車を商用大型トラックに採用するには、エネルギー効率が悪すぎてモーターでの補助走行の恩恵はそれほど受けることができない。そのため、商用大型トラックや大型バスではディーゼルエンジンが主流となっている。
そこで注目されるのが、FCシステムというわけだ。このシステムはディーゼルエンジンより軽く、そしてパワフルにすることができるため、商用大型トラックや大型バスへの代替パワーユニットとして注目されている。
例えば、新型MIRAIに搭載される燃料電池ユニットは174PSを発揮する。このユニットを2個搭載するだけで348PSを発揮させられるため、大型車にも十分使える。
このように、将来的に大型車に搭載されるディーゼルエンジンから、クリーンで経済的なFCシステムに切り替わることを先取りして開発に力を入れているのが、トヨタということだろう。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)