東急、2Qは減収減益 営業収益は前年比-25.2%と外出自粛の影響等により鉄道・ホテル事業を中心に低調
2020年12月18日 09:28
2021年3月期第2四半期決算説明会
高橋和夫氏:社長の高橋です。本日はお忙しい中、電話会議にご参加をいただきましてありがとうございます。それではさっそくですが、2020年度第2四半期決算及び2020年度の業績見通しについてご説明させていただきます。
はじめに
まずはじめに、当社の現状についてご説明させていただきます。昨日公表したとおり、通期業績予想は新型コロナウイルスの影響により当面は不確実な環境が続くと思われますので、2003年以来の当期純損失を予想しています。
一方で、このウィズコロナ環境にあってもさまざまな工夫、対策の実行により、今下期においては営業収支均衡を目指し、来期以降の回復に弾みをつけたいとも考えています。
なお、配当については、当初記念配当を実施した前年の据置を予定しておりましたが、こうした状況に鑑み、大変遺憾ではありますが、年間3円の減配とさせていただきたく、業績回復とともに還元方針である総還元性向30パーセント及び利益成長に応じた還元規模拡大の早期復帰を目指す所存です。
また、昨年長期経営構想を発表し、社会課題の解決に取り組んでいく、いわゆる「サステナブル経営」を標号してまいりましたが、この方針に変わりはありません。
しかしながら、特に影響の大きい鉄道、ホテル、百貨店においては、構造改革委員会を立ち上げ、これまで以上にスピード感を持って取り組んでおり、本日はこうした点についても触れたいと考えています。
2020年度 第2四半期 決算実績ポイント
2020年度第2四半期の決算のポイントですが、前年比較を中心にご説明いたします。
営業収益は、新型コロナウイルス感染症拡大による需要減少により、すべてのセグメントにおいて減収。営業利益についても、交通事業でマイナス326億円、ホテル事業ではマイナス203億円となるなど、連結全体では対前年652億円減益のマイナス203億円でした。
なお、不動産事業のうち賃貸業においては、前年開業した渋谷スクランブルスクエアや南町田グランベリーパークの効果もあり、増収しましたが、商業施設等の減収や前年のマンション販売の反動などによりセグメント全体では減収減益となっております。
四半期純利益は、ホテル事業において減損損失の計上があり、対前年593億円減益のマイナス271億円でした。
2020年度 業績予想ポイント
2020年度の通期の業績予想のポイントです。足元の緩やかな回復基調を前提としておりますが、営業収益は対前年で2,242億円減収の9,400億円、営業利益は対前年887億円減益のマイナス200億円を見込んでいます。
収入の回復やコストコントロールなど、構造改革を進めることにより、すべてのセグメントで減益幅の改善を見込み、下期の連結営業収支が均衡する水準としております。また、当期純利益は、一定のリスクの特別損失に織り込み、マイナス450億円としました。
冒頭でお伝えしたとおり、当面の事業環境を予測するのが難しい状況ですが、来期以降の回復を確かなものとするために全社を挙げて努力していきたいと考えております。
2020年度 業績予想の前提・考え方
業績予想を前提として、現在の状況及び当面の見通しについてご説明いたします。鉄道の輸送人員については、現在前年比でマイナス20パーセントから30パーセントで推移し、徐々にではありますが緩やかな回復を見込んでおり、期末まで概ねマイナス20パーセント程度ではないかと考えております。
百貨店の売上については、概ね前年の80パーセントとしております。ホテルの稼働率は、上期は平均で22パーセントと大変厳しい状況でしたが、こちらも徐々に回復しており、通期平均では30パーセント台半ばではないかと想定しております。
最後に、資金については、下期に収支均衡を目指すことや引き続き投資を抑制することにより、有利子負債は9月末の水準で推移するものと考えております。
経営計画の進捗
9ページですが、ここで改めて「中期3か年経営計画」について触れさせていただきます。今年度は3ヶ年計画の仕上げの年度でもありましたが、ただいまご説明させていただいたとおり、表の左側「目標数値に対して」として掲げておりました営業利益は、残念ながら最終的には大きく目標を下回る水準となりました。
また、成長投資については、渋谷の再開発や沿線開発におけるプロジェクトを着実に推進するなど、持続的成長に向けた取り組みは想定どおりの状況でございます。
なお、来期は新たな中期計画の策定年度となりますので、まずは従来想定していた水準に回復していく道筋をしっかりと検討し、来春には公表させていただく予定でございます。
各セグメントごとの課題や足元の取り組み状況など詳細については、担当の常務、藤原から説明させていただきます。
鉄道事業の取り組み
藤原裕久氏:よろしくお願いいたします。藤原でございます。鉄道事業から始めまして、各業ごとの取り組みについて私からご案内をさせていただきます。
まずは11ページの鉄道事業ですが、回復が緩やかでして、通勤定期をご利用をいただいているお客さまの働き方、行動様式の変化は、コロナ後も定着して100パーセントまで戻ってこないと想定しています。
当然ながら、安全・安定予想の責務を果たしながら、従来水準の利益資金を回復する、また、伸ばしていくための事業構造変革に取り組んでおります。
昨日、東急電鉄からもアナウンスをさせていただいておりますが、具体的には、終電時間の繰り上げ、ダイヤの適正化など、運行サービスの見直し、テクノロジー活用によるワンマン運転の拡大など、事業運営の高度化を図っていきます。
また、成長戦略として2022年度に開業予定の東急新横浜線をはじめとしたネットワーク拡大、新しい生活様式を見据えた運賃の見直しなどについてもサービスの拡充を進めていきたいと考えています。
不動産事業の取り組み①
続いて、「不動産事業の取り組み①」ということですが、オフィス賃貸については空室率上昇が見られており、渋谷は比較的築年数の古い物件が多いため、新型コロナウイルスの影響によるテナントの流動性が増しているということは事実でございます。
当社物件は駅周辺の大型施設が特に多く、空室率が大きく変動するリスクは少ないと考えているのですが、市場動向に留意しながら、クリエイティブな環境機能を持つ渋谷や郊外のサテライト拠点、ワークスタイルの変化を踏まえた事業展開を進めてまいります。
商業施設につきましては、グラフのとおり、生活圏が近い沿線商業施設は平年度の水準に近づいておりますけれども、渋谷地区はマイナス30パーセントの状況であり、足元はリーシングの強化など対策を講じているところでございます。
不動産事業の取り組み➁
続いて「不動産事業の取り組み②」は、不動産事業の投資の観点です。成長投資については、これまで以上にリスク管理を強化しながら推進していきます。
具体的な案件としましては、アフターコロナを見据えた最初の大規模プロジェクトである新宿MILANO再開発……こちらは他社との共同開発ですが、綱島、渋谷など、持続的な成長に資する取り組みを連続的に進めてまいります。
生活サービス事業の取り組み①
続いて、生活サービス事業です。生活サービス事業においての東急ストア、イッツ・コミュニケーションズについては堅調に推移をしているところがある一方、東急エージェンシーや東急百貨店は新型コロナウイルスの影響を大きく受けているという状況でございます。
東急百貨店については、従来から構造改革として店舗のハイブリッド化などを進めておりましたが、この3月予定どおり旗艦店である渋谷東横店を閉鎖した影響もあり、今後の利益構造の利益を生み出していくため、適正な体制へ転換すべく、構造改革を進めているところでございます。
生活サービス事業の取り組み②
続いて、生活サービス関連のDXの状況です。沿線におけるさまざまな実店舗を通じた多様な接点を強みにしているのですが、特にデジタル接点が少なく、シニア層の比率が高いことや、データの活用に課題があるということについては認識をしております。
これらの解決策の1つとして、本年8月、楽天ポイント、楽天ペイなどのサービスの基盤を持つ楽天株式会社さまと新しい会社を設立してジョイントベンチャーを始めております。
すでに9月から東急ストアでは、両社のポイント付与やデータ分析のマーケティングを開始しており、オン・オフの垣根を超えたDXにより、新たな生活価値の収益向上に取り組んでまいります。
ホテル事業の取り組み
続いて、ホテル事業の取り組みについてですが、ホテル事業については、リゾートなど一部のホテルで回復の兆しが見られるものの、主力の東京、特に23区内のエリアでは低位な稼働率に留まっております。
また、国内のマーケットにおけるチャネルチェンジや、レストラン等、さまざまな要素を活用する取り組みを始めております。
資料スキームの観点では、賃貸借からマネジメントコントラクト、運営受委託への変換のほか、適正規模の店舗数にする改革など、外部環境に左右されにくい競争力のある経営を目指していくと考えております。
ESGの取り組み
最後になりますけれども、ESGに関わる取り組みでございます。行政から脱炭素社会を目指す宣言がありましたけれども、当社におきましては2050年までに主要電力を再生エネルギー100パーセントで調達することとしており、すでに世田谷線などでその運行を開始しております。
また、この上期におきましては、TCFDへの賛同表明のほか、南町田グランベリーパークでは、国際的な環境認証制度LEEDの受賞やESG債の発行など、公表をさせていただいております。
この分野は多岐に渡りますけれども、沿線を中心としたすべてのステークホルダーへの価値提供につながる取り組みであり、今後も方針や目標を定めながら着実に進めてまいりたいと考えております。以上でございます。