NYの視点:今週の注目:FOMC、BOJ、BOE、米小売りなど

2020年12月14日 07:36


*07:36JST NYの視点:今週の注目:FOMC、BOJ、BOE、米小売りなど
円の買い持ち高は前々週からさらに増加し9月来の高水準を維持した。市場が買い持ちに過剰に傾いており、円のさらなる上昇は困難か。

今週は、連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)、英国中銀、日銀、スイス国立銀行が金融政策決定会合を予定している。各中銀とも大規模緩和を維持する見込み。

さらに、新型コロナウイルス感染状況、米国の追加経済対策を巡る与野党協議の行方や英国と欧州連合(EU)の通商交渉の行方に注目が集まるほか、経済指標では特に、米小売売上高の発表に注目される。米食品医薬品局(FDA)はファイザーのワクチンに続き、モデルナのワクチンに関し17日に審議を予定している。米国はすでに、2億人分の同社ワクチンを確保したと報じられている。

欧州では部分規制を継続しているドイツは規制を一段と強化する計画。英国ではロンドン市長が再びロックダウン入りする必要性を訴えている。英国は加えて自由貿易協定(FTA)で合意なくEUを離脱する可能性が回復の重しとなり、英中銀の追加緩和を織り込む動きも見られ、ポンド売り圧力となっている。ただ、土壇場での合意の可能性も残るため動向には注視が必要。

英国に続き米国でも今週からファイザーワクチンの接種が開始される可能性が濃厚となった。しかし、ワクチンが広範に行き渡り、経済に反映されるには時間がかかり、短期的には新型コロナウイルス第3波による外出規制強化で雇用や経済に悪影響を与えることは必至と見られる。トランプ大統領は選挙の不正を疑い訴訟を起こしているが、14日に行われる選挙人投票で正式にバイデン氏の勝利が確定されると、覆すのは困難になる。

FRBは本年最後となるFOMCを開催する。新型コロナウイルス第3波で外出規制強化による回復停滞を抑制するため、一部では量的緩和(QE)拡大などの憶測もある。しかし、前回11月会合の議事録では追加緩和の実施は明確化されておらず、新政権発足前であることやワクチンの配布を控え、また、追加財政策の不透明感などに、今会合では、資産購入プログラムのガイダンス強化にとどめることになると見られる。パウエル議長は引き続き、ワクチン実用化は中期的にはプラス材料だが短期的な見通しは不透明で、慎重な姿勢を崩さず景気の2番底入りを回避するために大規模緩和を当面続ける方針を再表明する可能性が強く、ドルの上値も抑制される。さらに、最新の見通しも発表されるため、今後の金融政策を探るためにも金利、インフレ予想などに焦点が集まる。

■今週の主な注目イベント

●米国
14日:【大統領選挙】選挙人投票
15−16日:連邦公開市場委員会(FOMC):予想:金利、QE据え置き、パウエルFRB議長会見、見通し
15日:12月ニューヨーク連銀製造業景気指数、11月輸入物価指数、11月設備稼働率・鉱工業生産、10月対米投資
16日:11月小売売上高、12月マークイット製造業PMI、12月NAHB住宅市場指数、10月企業在庫
17日:12月フィラデルフィア連銀景況指数、11月住宅着工件数、失業保険申請件数、食品医薬品局(FDA)がモデルナのワクチンに関し審議
18日:11月先行指数

●日本
18日:日銀金融政策決定会合、黒田日本銀行総裁が会見、資金繰り支援の延長検討

●英国
17日:英中銀、金融政策決定会合(予想:金利、QE規模据え置き)

●スイス
15日:スイス国立銀金融政策決定会合

●中国
15日:11月鉱工業生産、小売り


●地政学的リスク
ベネズエラ
北朝鮮:
イラン
ガザ紛争
シリア
イエメン
香港《CS》

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