コロナ禍で20代女性も『つみたてNISA』の資産運用に続々参加
2020年12月7日 09:07
Pontaリサーチが2020年11月に発表した『資産形成・ポイント運用に関する調査』によると、20代女性が投資・資産運用へ関心を高めているという。リサーチ内容は、2020年の資産形成意欲についてだが、コロナ禍の不景気によって新たに資産運用を始めた・始めたくなったと回答した人の29.1%が20代。実際になんらかの資産形成を始めた人は、20代女性が34.8%と高い数字を示している。
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この数字の背景にあるのが、コロナ禍における女性の失業率の高さと再就職率の低さである。NHKニュースによると、『解雇・休業を余儀なくされたと答えたのが、女性で26%ほど、これは男性の1.4倍』にあたるという。『この10月の月収が感染拡大前と比べて3割以上減ったと回答したのは、男性15.6%・女性21.9%』で、『この4月以降失業したまま再就職していない人は、男性24.1%・女性38.5%』と女性不利の状況を浮き彫りにしている。
コロナ禍以降、仕事による収入確保がままならないことから、若い世代、とくに女性にまで資産形成意欲が高まっているわけだ。かつてバブル期に主婦層や若い女性にまで財テクブームが巻き起こったが、あの時は超好景気のイケイケ相場に便乗した恰好で、決して生活苦や将来不安に駆られてではない。つまり、今回の投資・資産運用ブームは労働者層の貧困化への懸念から生じているということだ。
現在、各職場のAI・ロボット化が早急に進んでいる。コロナ禍で解雇された労働者の再就職先を阻むように無人労働が実現しはじめている。11月末に堺市の自治体が、自動運転バスの運行を開始したニュースもある。レジサービスをデジタル決済とAI接客で無人化する店舗も増えている。
もちろん新たな職場は社会ニーズに応じて派生するだろうが、AI・ロボット化で失われる職場の数には追いつかない。必然的に収入ダウンする労働者の増加はいなめない。
今回のリサーチの結果は、労働現場のパイ縮小化に反比例するマーケット相場の好調振りによる。リーマンショック以来、世界中で未曽有の金融緩和が継続されている。その資金は、実体経済に投入される以上にマーケットへ投資されているのが現状だ。大量の現金が相場に投入されれば、インフレによる相場の上昇をもたらすのは必至で、実際そのようにどの相場も好調に上昇しているのだ。
この現状に刺激され、およそ投資・資産運用には縁が薄いとされてきた20代女性の参入が顕著になったのだろう。ちなみに資産形成ニーズが高い投資先だが、やはり株式投資が最も多く、これから始めてみたいという投資初心者は『つみたてNISA』に関心を示していた。
さて、これから資産運用を行いたい人は、まずは『つみたてNISA』から始めると安心だろう。少額投資非課税制度を利用した長期積み立てプランで、2018年より導入された新制度である。金融庁から認可を得たローリスクの投資信託で資産運用をすると、一定額までは非課税で運用できるメリットがある。
つまり投資について知識がない人でも安心して利用できる長期投資手段で、定期預金よりは利回りの良い安定的な資産運用といえる。現金を保有するよりもメリットが大きく、しかも元本割れリスクが低いことから、安全な財産管理を望む20代女性の関心を惹きつけているということである。(記事:TO・記事一覧を見る)