NTT東・西、AIで電話の音声解析し特殊詐欺防止 検知すると親族にも通知

2020年11月28日 10:07

 NTT東日本とNTT西日本は27日、家庭用固定電話利用者向けに、振り込め詐欺などの「特殊詐欺対策サービス」を開始すると発表した。サービスには、2019年5月以降NTTグループで実証実験を重ねてきた「特殊詐欺解析AI」 を活用。サービス提供は30日から開始、利用に必要な通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)も同時に提供を始める。

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■特殊詐欺対策サービスの概要

 家庭用の電話機に、通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)をつなぐと、端末が音声を録音しクラウド上に通話データを転送。クラウド上では、特殊詐欺解析AIが音声解析や言語分析解析で通話を解析、特殊詐欺と疑われる場合には、本人や事前に登録した親族に注意喚起の電話やメールが届く。

 本人だけでなく、親族に連絡がいくことで詐欺の危険を察知できる仕組みだ。しつこい勧誘や迷惑電話は、番号を端末に登録することで着信ブロックし回避できる。

 サービス提供には、工事・設置等の初期費用と、固定電話(住宅用電話サービス)の回線利用料、サービスの月額利用料440円が必要となる。

■特殊詐欺被害の現状

 2003年から発生が目立つようになった特殊詐欺だが、近年は減少傾向にある。被害総額は、2014年の566億円がピークで2019年は315億円。詐欺を認知した数も、2017年の18,212件を境に減少傾向にあり2019年は16,851件となっている。しかし手口は巧妙化し、事前に資産状況を聞き出し強盗に入る「アポ電」など人命にかかわる事件も起きており、より深刻化している。

 自分は大丈夫と思う人ほど危ないという調査結果もある。警察庁が2018年に行ったオレオレ詐欺被害者と、詐欺を阻止(業者が・家族が・自分が)できた人へのアンケートでは、「自分は被害に遭わないと思っていた・どちらかといえば自分は被害に遭わないと思っていた」と回答した割合が最も多かったのが、詐欺被害者(95.2%、対象354人)。最も少なかったのが、自分で詐欺と見破った人達だった(85.1%、対象428人)。

 最近ではSMS経由などの詐欺も増えているが、特殊詐欺の被害者は65歳以上の高齢者が8割を占め、固定電話を通じて犯行が行われることが多い。他方、高齢化は年々進行し65歳以上人口の割合は3割超目前にある。NTTグループは本サービスの提供により、安心して電話が使える社会を目指していくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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