日産が新型「ノート」を発表、人気車の投入でようやく反転攻勢が始まるか?

2020年11月26日 17:24

 元会長カルロス・ゴーン被告の海外逃亡劇や、それ以前から続く販売不振で21年3月期には連結最終損益が6150億円の赤字と見込まれるなど、ネガティブ・ニュースを連発していた日産がようやく復活への歩みを始めたようだ。

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 日産は24日、同社の国内市場で数少ない稼ぎ頭の小型車「ノート」の最新モデルを発表した。今までノートはガソリン車とハイブリッド車の2タイプで販売されてきたが、世界的な環境規制を意識して、「日産がゼロエミッション社会をリードする」という気概の元に、電動化に経営資源を集中するシンボルとしてハイブリッド車のみで登場する。

 エンジンとモーターを搭載して、効率的に組み合わせて使い分けるシステムをハイブリッド(HV)システムと呼称するが、一口にHVと言っても大きく3つのパターンに分けられる。

 1つ目の「パラレル方式」は、発進や低速走行などエンジンが苦手とする領域をモーターが担当するシステム。2つ目の「シリーズ・パラレル方式」は、走行時に動力としてエンジンとモーターを使い分けるシステム。3つ目の「シリーズ方式」は、エンジンが発電専用に回りモーターが動力を担当する。

 日産は「シリーズ方式」を「e-POWER」と呼んで、「ノート」に搭載している。エンジンが効率のいい回転数で発電に徹するため、現行ガソリン車と比較すると6割程度の燃費改善につながるとともに、静粛性も実現している。

 05年にガソリン車として登場した初代ノートは、12年には2代目が誕生し16年にはHVシステムのe-POWER搭載モデルが追加された。ノートはe-POWER搭載モデルの登場により、100%モーター駆動の力強さを発揮しながら、ガソリンをスタンドで給油するという一般に馴染んだ燃料補給システムが受け入れられて、17年から19年までの3年連続で国内コンパクトカー部門の販売台数第1位を続け、18年には登録車販売台数第1位にも輝いた。

 e-POWERとしては第2世代になる新型「ノート」は先代に比べて、トルクが10%、出力が6%向上。発進や追い越しの加速性能が向上すると共に、インバーターの軽量小型化とエンジン効率の向上により、燃費の改善も実現した。

 新型「ノート」は12月23日に前輪駆動(FF)の2WDモデルが発売されるが、同月中には4輪を前後の2台のモーターで駆動する4WDモデルも発売される見込みだ。日産が「充電のいらない電気自動車の新しいかたち」と表現するe-POWERを搭載した新型「ノート」が、マーケットでどのような評価を受けるのかが大いに注目される。

 英国では30年から、中国や米カリフォルニア州では35年にはガソリン車の新車販売ができなくなり、フランスも40年までには販売禁止となる見込みだ。世界で進むガソリン車への厳しい対応を見越した日産のリスタートが始まる。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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