DeNAと中外製薬、関節リウマチ疾患啓発プロジェクトを開始
2020年11月25日 17:20
DeNA(東京都渋谷区)は11月24日、子会社を通して中外製薬と共同で関節リウマチの疾患啓発プロジェクト「Ring Again」を発足した。早期発見のために、指の違和感を見つけやすい「結婚指輪」と絡めた。DeNAはゲーム事業で「エンゲージメントサイエンス」のノウハウを蓄積しており、それをヘルスケア領域にも転用する。
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11月22日に特設サイトをオープンし、コンセプト動画を公開した。ツイッターや広告を使って、「結婚指輪を通じた関節リウマチの正しい理解」の発信を行う。同社はゲーム事業やスポーツ事業で、ユーザーが「楽しみながら継続利用」するようデータ分析を元に仕向けてきた。その技術を使って、2014年にはインターネットを通じたヘルスケアサービスの領域に進出。一般向け遺伝子検査サービス「MYMODE」などを展開している。
2019年4月にはChief Medical Officer(最高医療責任者)を設置し、取り組みを加速してきた。疾患啓発の取り組みとしては、子宮頸がん検診の受診率向上を目指すブルースタープロジェクトを実施。インスタに注力し、フォロワーから約3000件の関連投稿を獲得したという実績がある。
中外製薬は関節リウマチに効く国産初の抗体医薬品「アクテムラ」を2005年6月から販売している。これまで市民公開講座やアニメ、ラジオ、新聞などで疾患啓もう活動に取り組んできたが、コロナ禍で活動範囲が限定されるようになった。そのため発信の場をITやSNSに移す必要があり、知見のあるDeNAと組んだ。
関節リウマチは免疫の異常で関節を包む滑膜に炎症が起こる病気。日本には70〜80万人の患者いると言われており、進行性のため早期発見と早期治療が求められる。
発見が遅れる一因となっているのが、「高齢者の病気」というイメージだ。だが実際には発症年齢の中心は30〜50代。日常生活の中で異変に気付くよう、結婚指輪をきっかけとしたプロジェクトを開設した。
楽天ウェディングの調査によると、結婚指輪をする割合は年齢とともに減少する傾向がある。30代後半では約55%、40代前半では約38%しか結婚指輪をつけていないと分かった。再び身に付けることで、指輪が「愛と健康を教えてくれる」と、同プロジェクトではメッセージを発信する。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る)