アレシボ天文台の巨大電波望遠鏡、廃止・解体へ

2020年11月21日 20:51

米国立科学財団(NSF)は19日、プエルトリコ・アレシボ天文台の巨大電波望遠鏡を廃止する計画を明らかにした(ニュースリリースUCF Todayの記事)。

1960年代に作られた直径305mの巨大電波望遠鏡は8月10日に構造を支える補助ケーブルの1本が切れ、球面反射面が約30mにわたって破損した。NSFとの契約でアレシボ天文台を運用するセントラルフロリダ大学(UCF)では8月の補助ケーブル破損を受けてエンジニアリング会社3社に調査を依頼し、構造の調査や修復作業計画などを策定したが、修復作業開始を前にした11月6日にはメインケーブルの1本が切れてさらに破損が広がっている。

3社はメインケーブル破損後の状況を評価し、電波望遠鏡の構造が壊滅的な崩壊の危機にあることや、残ったケーブルがこれ以上重量を支えられない可能性があること、修復を試みようとすれば作業者の生命が脅かされること、修復作業が進められても構造には長期的な安定性の問題があることなどを含む報告書をNSFへ送っていた。NSFではこれらの報告を検討した結果、廃止・解体を決定したとのこと。

廃止は電波望遠鏡に限定し、その他の研究・観測施設については維持していく計画だ。アレシボ天文台はプエルトリコで文化的・経済的に重要な位置を占めているため、NSFでは教育的施設としての利用拡大も検討しているとのことだ。 

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