コロナ禍の労務管理 管理層の育成、離職防止でサーベイなど人事領域のDX化進む

2020年11月20日 09:10

 ウイズコロナの社会が続いている。ワクチン開発も順調に進んでいるようだが、それらが使用できるようになるには未だ時間がかかりそうだ。治療薬やワクチンが開発されたとしても新型コロナが人間社会から消え去る見込みはなく、ウイズコロナの時代は長期化しそうだ。

 そうしたコロナ禍で生き残れる業種・業態、生き残れない業種・業態の二極化も生じてきており、人々の働き方に関する意識にも変化が現れてきている。企業もこうした変化に対応しなければならず、人事・労務管理のあり方も変ってくる。テレワークなど働き方の変化は企業と従業員のコミュニケーションのあり方を変化させ、人事・労務管理のDX化も一部では加速しているようだ。

 11日に求人サイトを運営するアトラエが「従業員サーベイ(エンゲージメントツール)に関する意識調査」の結果レポートを公表している。調査対象は従業員50名以上の企業の経営企画・人事担当者で、調査時期は9月下旬だ。

 企業と従業員の良好な関係を保つことである「エンゲージメントに関する悩み」について質問した結果では、「マネージャー層・管理職の育成ができていない」と答えた担当者が46%と約半数でトップ、次いで「優秀な人材が辞めてしまう」が36%と続いている。従業員1000人以上の企業に限ると「テレワークでコミュニケーション量が減っている」48%、「テレワーク下での評価方法が不明」43%などテレワーク関連の悩みが多くなっている。

 こうした課題への対応としては、「社員との面談・1on1ミーティング」が47.2%、「目標管理・OKR関連サービス・システムの導入」が33%で、それぞれ昨年調査より10pt増加、「従業員サーベイ」、「タレントマネジメント」各関連システムの導入や「メンター制度の導入」、「ストレスチェックの実施」がそれぞれ5pt増加する一方で「待遇改善」は7pt減少している。「エンゲージメント関連の悩みあり」と答えた者のうち、従業員の満足度等を調査する「従業員サーベイ関連サービス・システムの導入が有効だと思う」と答えた者は約40%存在した。

 レポートでは「コロナ禍により働く個々人の価値観の変化があったことや、企業の厳しい経済状況を考慮すると、現代の組織に求められるものは、単なる待遇や環境改善だけではなく従業員サーベイなどを含む人事領域のDX活用による『新しい組織のカタチ』だと考えられる」とまとめている。(編集担当:久保田雄城)

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