新型コロナ用のワクチン、ファイザーが90%の有効性確認! 日本に供給されるのはいつ?
2020年11月13日 11:25
米製薬大手のファイザーは、新型コロナウイルス用に開発中のワクチンが、臨床試験(治験)で90%の有効性が確認されたと公表した。ファイザーは7月末から約4万3500人に対して、臨床試験の最終段階に当たる治験を行ってきたが、2回目の投与から7日後には90%の感染予防効果が確認されたという。
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ファイザーは11月中に米食品医薬品局(FDA)に対して、緊急使用許可を申請する予定だ。
FDAは緊急使用許可を承認する際に、必要な有効性のガイドラインを少なくとも50%と設定しているので、ファイザーが公表した90%は良好な数値と言える。順調に進めば年内にも供給が開始される見込みがある。
ファイザーのワクチンは、米政府に最初の1億回分が供給され、追加として最大5億回分が供給される。欧州連合(EU)には初回の2億回分と追加で1億回分が契約されている。日本政府は21年6月までに1億2千万回分の供給を受けることになっている。治験の結果により、同一人に2回の投与が必要なため、日本はファイザーから6千万人分のワクチンを確保したことになるが、英アストラゼネカからも1億2千万回分の供給を受けることになっている。
ファイザーは年内に最大で5000万回分(2500万人分)、21年には最大で13億回分(6億5000万人分)のワクチン製造を計画している。
課題は、ファイザーのワクチンが容易に分解する特性を有しているため、製造後から接種されるまで摂氏マイナス70度~80度の超低温で冷凍保存する必要があることだ。
ファイザーは既に米ミシガン州に大型冷凍庫を350台備えた保管施設の整備を行っている。更に、施設からの輸送用に最大5000回分のワクチンを10日間保存可能なスーツケース大の容器も開発している。
米輸送大手のUPS(United Parcel Service)やフェデックス・エクスプレスも、超低温で配送が可能な輸送機材の準備を進めているという。
航空機での輸送で日本に到着後のサプライルート全般にも、同様の超低温冷蔵設備が必要となるので、21年6月(もっと早い時期が望ましいが)にワクチンが供給されるまでのわずかな期間に、準備すべきことは多い。
また日本に到着するワクチンは、一単位千人分が冷凍で届く。輸送期間も含めた有効期限は僅か10日程度なので、効率の良い接種体制を構築する必要がある。おのずと集団接種に近い状態が想定されるが、「密を避けて集団接種」という矛盾した条件を、効率よく進める知恵が必要だ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)