【注目銘柄】旭化成はバイデン関連人気を業績の上方修正がサポートして4連騰
2020年11月12日 09:34
旭化成<3407>(東1)は、前日11日に25.6円高の988.6円と4営業日続伸して引け、取引時間中には997.4円と買われて1000円大台目前まで迫り、1月7日につけた年初来高値1226円を視界に捉えた。米国の大統領選挙で当選確実となったバイデン前副大統領が、温暖化防止の国際的な取り組み「パリ協定」に復帰することを表明しており、環境対応の電気自動車(EV)市場の高成長が見込まれるとして、EV向けリチウムイオン二次電池(LIB)用セパレータで世界トップにある同社株に関連株買いが増勢となった。今年11月6日に今2021年3月期の営業利益を上方修正し市場コンセンサスを上回ったことも、サポート材料となっている。
■LIBセパレータの増強が続き今期業績は市場コンセンサス上回る
同社はLIB用セパレータで世界トップにあるが、2015年2月に同セパレータで世界3位のポリポア社を約22億ドルで買収し、世界第1位を不動のものとした。とくにポリポア社は、車載向けLIB用セパレータに強みと高実績を持っており、買収後はその米国工場と国内工場ともども成長投資を続け、LIBメーカーに積極的な販売攻勢を掛けている。バイデン前副大統領が、来年1月の大統領就任早々に「パリ協定」への復帰を表明しているだけに、米国市場でのEV拡大は必至であり、LIB用セパレータが、業績再成長のエンジンになる見込みである。
一方、今2021年3月期業績は、第2四半期(2020年4月~9月期、2Q)累計業績が、今年8月の予想値を上ぶれ連続減益率を縮小させて着地するとともに、3月期通期予想も開示し、このうち通期営業利益を今年8月の予想値から上方修正した。営業利益は、今年8月にレンジ予想で1200億円~1300億円としていたが、1400億円(前期比21.6%減)とした。2Q累計業績が、自動車市場の復調と住宅の引き渡しが想定を上回って上ぶれ着地したためで、経常利益も1420億円(同22.8%減)、純利益を870億円(同16.3%減)と初開示し、いずれも市場コンセンサスを上回った。なお未定としていた今期配当は、年間34円(前期実績34円)を予定している。
■ミニGC示現で上昇転換し低PER・PBR修正で年初来高値奪回
株価は、年初来高値1226円から前期業績の下方修正とコロナ・ショック安の直撃で年初来安値606.1円へ突っ込み、売られ過ぎ訂正と人工呼吸器へのコロナ関連株買い、さらに今3月期予想業績の開示などが加わって900円台までリバウンドし、25日移動平均線を固める動きが続いた。バイデン前副大統領の当選確実では945.3円高値をつけ、その直後の調整安値からは今期業績の上方修正で997.4円高値まで買い進まれた。この間、5日移動平均線が25日線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を鮮明化した。PERは15倍台、PBRは0.99倍、配当利回りは3.43%と割り負けており、年初来高値1226円奪回に弾みをつけよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)