コーヒーをよく飲む人ほど眼圧が低い 因果関係は不明 京大が発見
2020年11月12日 17:48
京都大学大学院の三宅正裕特定助教、辻川明孝教授、中野絵梨博士課程学生を中心とした研究グループは、長浜スタディの9850人の日本人データを解析し、コーヒーをよく飲む人の眼圧が低いことを発見した。本研究成果は6日のOphthalmology Glaucomaにオンライン掲載された。
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今回用いた日本人データである長浜スタディとは、滋賀県長浜市におけるコホート事業である。長浜市民から集めた1万人分の健康情報、尿や血液などの成分、環境や生活習慣などの情報の大きなデータだ。医学の発展と市民の健康のために、京都大学大学院医学研究科と長浜市、長浜市民により進められている。
コーヒーのポジティブな評価は近年多く示されている。例えば、高齢者の認知機能の低下がコーヒーにより改善されるという研究結果は、イギリス、オランダなど各国の研究により示されている。またパーキンソン病の運動機能障害がコーヒーにより改善されるという研究結果もある。
コーヒーの飲用が食後血糖値の上昇を抑え、2型糖尿病の発症を抑えるという研究結果も示されている。他にも心血管疾患になりにくい、特定のがんになりにくいという研究も行われている。
今回の研究では、緑内障と指摘されたことがない人で、コーヒーを1日3杯以上飲む人は、1杯以下の人よりも眼圧が0.4mmHg低いという結果を得た。研究参加者の平均眼圧が14.7mmHgのため、3%低いということになる。一方、緑内障と診断されたグループと診断されていないグループではコーヒー摂取の頻度に違いはみられなかった。コーヒーと眼圧に注目した研究はこれが世界で初めてのものという。
このような研究で大切なのは、「コーヒーを飲むと眼圧が下がる」とは言えないことである。現時点で少なくともコーヒーを飲むことは眼圧に悪くはないとは言えるだろう。眼圧が下がるメカニズムなどが今後明らかになることで、コーヒーが目に良いのかどうかも明らかになっていくことだろう。
コーヒーにはカフェインやポリフェノールが含まれている。どんな物質も、良い面もあれば取り過ぎればよくないことはあるものだ。特にカフェインは致死量が5gとも10gとも言われているが、短時間でコーヒー40杯ほどの量に当たる。ここまでいかなくても不整脈や嘔吐含め体調不良の原因となるから、いくら体にいいとなっても適量が大切だ。
日本は世界第4位のコーヒー消費国だ。今後の研究でコーヒーがどんな効果を私たちにもたらしてくれるのか、明らかになることを待ちたい。(記事:室園美映子・記事一覧を見る)