地球最大の生物絶滅、原因はシベリアの大規模火山噴火 東北大

2020年11月11日 08:36

 地球上で少なくとも5回は発生したとされる生物の大量絶滅。その中でも最大規模なのが約2億5,000万年前のペルム紀末に発生したイベントだとされている。東北大学は9日、この生物絶滅イベントの原因が、シベリアでの大規模火山噴火であるという確かな証拠を掴んだと発表した。

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■90%以上の真核生物が絶滅
 ペルム紀末に発生した生物の大量絶滅イベントでは、90%以上の真核生物が絶滅した。絶滅の原因とそれによる地球環境の変化については、世界中で研究が盛んにに行われているという。

 とくに注目されているのが、ロシア・シベリア東部のバイカル湖の北に広がる火山岩地域だ。直径約2,000キロメートルにも及び、大規模な火山活動が発生したと予想される。

 事実、「放射年代測定」と呼ばれる放射性同位体の半減期から年代を測定する方法により、シベリアの火山岩が誕生した年代は中国の大量絶滅の時期と一致していることが判明している。また火山噴火による水銀の濃集が、中国の大量絶滅を示した地層から発見されている。だが、これらの証拠には不確定な要素が残るという。

■2回発生した生物大量絶滅イベント
 東北大学の研究グループは、中国とイタリアで、当時存在した浅海において堆積した岩石を採取し、水銀や堆積物中に生物の死骸が残した有機分子の分析を実施した。その結果、「コロネン」とよ呼ばれる芳香族炭化水素が濃集していることが、堆積した地層とその上下の層で確認された。コロネンの生成には平均的な森林火災よりも高温が必要であることから、熱源は高温のマグマや小惑星や彗星の衝突だと推察されるという。

 ペルム紀末に発生した生物絶滅イベントのシナリオを、研究グループは描いている。それによると、地下の堆積岩に含まれた炭化水素がマグマの熱で燃焼することで、二酸化炭素などの温室効果ガスが発生。このガスの圧力による火山の噴火の発生が温室効果ガスの濃度をさらに上昇させ、地球温暖化により生物の大量絶滅が発生したという。

 研究グループは2回の生物大量絶滅イベントが発生し、1回めで陸の植物が絶滅し、2回めで海の動物が絶滅したと述べている。

 研究の詳細は、米地質学会誌Ceology電子版に4日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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