宇宙ゴミを監視するJAXAの観測所、小惑星リュウグウの姿を捉える

2020年11月11日 11:42

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6日、美星スペースガードセンター(岡山県井原市)の望遠鏡により、小惑星リュウグウの観測に成功したと発表した。

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■16.7等級で輝くリュウグウ

 リュウグウの探査を行っていたのが、JAXAの「はやぶさ2」だ。炭素質コンドライトが主成分のリュウグウは生命の起源と考えられる成分を含むため、地表からサンプルを持ち帰り分析が実施される。はやぶさ2は現在地球への帰還の途中で、12月6日に再突入カプセルが地球に到着する予定だという。

 美星スペースガードセンターは、11月4日18時16分から38分までのあいだ、50センチメートルの望遠鏡でペガスス座の方角にリュウグウを捉えた。リュウグウは現在地球に接近中で、同センターの望遠鏡は約16.7等級の明るさで捉えた。リュウグウは12月末に地球から約900万キロメートルの距離まで近づき、再び離れる。

■宇宙ゴミの監視を続ける観測所

 美星スペースガードセンターは、不要になった人工衛星やロケット、その破片といったスペースデブリ(宇宙ゴミ)を監視する施設だ。スペースデブリは判明しているだけで2万個程存在する。秒速数キロメートル以上で地球を周回し、その数は増加の一途をたどる。

 スペースデブリは運用中の人工衛星や宇宙飛行士への脅威となるため、軌道を正確に把握する必要がある。そのためJAXAは、宇宙状況把握(SSA)システムを稼働している。美星スペースガードセンターのほかにも、上斎原スペースガードセンターや筑波宇宙センターなど、SSA関連施設が存在する。

 美星スペースガードセンターは、スペースデブリの観測だけでなく、リュウグウをはじめとした地球接近天体(NEO)の科学観測も行っている。小惑星や彗星のような太陽系小天体が地球に衝突するリスクもあり、早期発見の必要がある。軌道を正確に決定することで衝突の可能性が判明し、衝突回避策の検討にも役立つという。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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