ガラパゴス文化は廃れる運命か SMBCも脱ハンコを加速

2020年11月9日 16:43

 SMBCフィナンシャルグループでは、子会社のSMBCクラウドサイトの電子契約サービスにより脱ハンコを推進している。同サービスはSBIホールディングスも導入を決定したところだ。

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 SMBCグループ20社に電子契約サービスを拡大すれば、年間1.7億円と2.2万時間が削減出来るとの試算も出ており、銀行の課題でもあるコスト削減や顧客ニーズとも合致している。

 金融や不動産など各業界では以前から脱ハンコを進めていたが、コロナ禍の影響や行政手続きのデジタル化促進のため、ここへ来て一気に押印廃止が加速している。

 そんな中、10月末に河野太郎規制改革担当大臣がツイッターに投稿した「押印廃止」の画像が問題となった。画像は既に削除されているが、ハンコの産地である山梨県では業界関係者が猛反発している。11月6日には山梨県知事や全印協(全日本印章業協会)の面々が自民党・二階幹事長に要請書を提出し、河野大臣の画像投稿理由について説明を求めた。

 要請書提出とともに「印章業界を愚弄」「蛮行」「政治家としての資質欠如」など河野大臣を批判しているが、一連のニュースに関連する世論は冷ややかだ。河野大臣のツイートには配慮が足りないとしつつも、押印廃止については圧倒的に賛成意見が多く、むしろ変革に対応出来ないハンコ業界への批判に繋がっている。

 かつて、保守的な業界では脱ハンコに反対する意見が圧倒的に多かった。なりすまし契約など何らかの問題が生じても「押印」があれば免責とされるケースが多かったからだ。契約時の印鑑と、その後の更新時や契約変更時の印鑑が同一であるか、印影の確認であれば然程難しくない。また事務処理の工程やシステムも印鑑ありきで構築されていたが、このような業界ですら脱ハンコに向けて本格的に動いている。

 世の中から印鑑が無くなる訳ではないが、ビジネスシーンに必要とされているのはもはや日本くらいであり、押印廃止の流れは止めようがない。ケータイ同様にガラパゴス化してしまった印鑑文化だが、政治家頼みで承継することは出来ないだろう。(記事:坂根豊志・記事一覧を見る

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