キリン堂HD、米ファンドと組んだMBO成立 年明けにも上場廃止へ
2020年10月28日 08:08
ドラッグストアのキリン堂ホールディングス(HD)が、米ファンド・ベインキャピタル・インベスターズと手を組んで進めてきたMBO(経営陣が参加する買収)で、株式の公開買い付けが完了した。ベインキャピタルの特定目的会社が筆頭株主となるMBOが成立し、臨時株主総会を経て年明けにも東京証券取引所上場が廃止となる見込み。
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ベインキャピタルが26日まで続けていた株式の公開買い付けでは、キリン堂HDの発行済み株式のうち、議決権ベースで69.75%の応募があった。キリン堂HDが所有する自己株式や創業家の寺西忠幸会長、寺西豊彦社長、その親族の資産管理会社が保有する株式は一部を除いて公開買い付けに応募していない。
公開買い付けの価格は1株3,500円。予定株数966万879株(全体の85.26%)、下限株数588万4,000株(51.93%)で、創業家の保有株式と合計して3分の2を超すようにしていた。
上場廃止後の株式はベインキャピタルが6割程度、創業家が4割程度所有し、創業家が引き続きキリン堂HDの経営に当たる。臨時株主総会は年内に開かれる方向で、確定次第に公表される。
キリン堂HDは大阪市淀川区に本社を置き、関西で高いシェアを誇っている。郊外の住宅地に立地する店舗が多いことから、新型コロナウイルス感染拡大による訪日外国人観光客の減少の影響を最小限にとどめ、マスクや衛生用品需要の増大で2020年3~5月期の売上は、過去最高となる348億円となった。
しかし、ドラッグストア業界は業界4位のマツモトキヨシHDと7位のココカラファインが2021年10月に経営統合し、業界トップに躍り出る。これまでトップを争っていたウエルシアHD、ツルハHDが巻き返しを図るのは必至で、新たな再編の波に業界が飲み込まれるとみられている。
キリン堂HDは今回のMBOの狙いを経営の自由度を高めて意思決定を早くするためとしているが、敵対的買収を避ける思惑もあると考えられている。(記事:高田泰・記事一覧を見る)