中国語学習に最適の無料テキスト! 中国日本商会の『中国経済と日本企業白書』

2020年10月28日 16:01

 中国日本商会は、毎年秋に『中国経済与日本企業白皮書(中国経済と日本企業白書)』を中国語と日本語の2カ国語で編纂・公表している。

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 中国経済・ビジネスに関して書かれた同白書は、経済専門用語が多用され、適訳・名訳が随所に見られるため、生きたビジネス中国語を学ぶ教材として最適である。

 また、経済、貿易、投資、中国各種産業、日系企業活動状況など中国ビジネスに必要なデータや情報が詰まっているため、中国ビジネスに関わる人にとっては、中国語と中国経済関連知識が同時に学べる最強のテキストだ。
 『中国経済与日本企業2020年白皮書』
http://www.cjcci.org/cj_pdf/eco2020/200904_CN_All.pdf

 『中国経済と日本企業2020年白書』
http://www.cjcci.org/cj_pdf/eco2020/200904_JP_All.pdf

■『中国経済と日本企業2020年白書』を教材に利用するメリット

 ・未知語推測訓練ができる。
 ・市販の学習教材に使用される記事は、若干古いデータであることが多いが、毎年出版される当該資料は最新情報が掲載されている。そのため、今、旬の時事用語、最新用語、重要単語が学べる。
 ・中国語ビジネス用語、経済用語が学べる。
 ・適訳・名訳が多いので参考にできる。
 ・語彙力、読解力、統括構文能力、翻訳・通訳能力、表現力などが向上する。
 ・中国経済や中国ビジネスに関わる重要な情報ばかりなので、中国語学習者にとって有意義な学びとなる。

■学習方法

 『中国経済与日本企業白皮書』は、本来中国語教材として編纂されたテキストではないため、中国語学習に利用するには学び方に工夫が必要だ。当該資料を使い、中国語を効率よく学ぶ3つの方法を紹介するので、試してみてほしい。

 ・「未知語推測訓練」

 ・「スラッシュ・リーディング(Slash Reading)」
 正確に素早く読む訓練。リスニングの向上。新語・時事用語、重要単語、適訳・名訳の学習

 ・「サマライゼーション(Summarization)」
 メッセージを分析して理解する力がアップ。簡潔に要点をまとめ説明する力が向上。中国語スピーチ・プレゼン力が向上。

■未知語推測訓練を行うことのメリット

 普段目にすることができる新聞・雑誌の内容を正確に把握するには98%の語彙が理解できている必要があり、それには5000-8000語の語彙力が必要と言われている。

 だが未知語推測訓練でトップダウンリーディング(蓄積した知識を活かして内容を予測する方法)を習得すれば、全体の95%の語彙が分かれば意味を正確に理解できるようになる。この場合、語彙力は3000語で足りる。

 『中国経済と日本企業2020年白書』はビジネスに関わる新語や時事用語が多用されているため、未知語推測訓練を行うには最適なテキストだ。未知語推測訓練の重要性についていは、下記の記事で詳細を述べているので参考にしてほしい。

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■未知語推測訓練の具体的な進め方

 1. 最初に白書から学びたい箇所を決め、日本語版と中国語版の該当ページを開く。ここでは下記の1文を使う。

 第1章 中国经济与日本企业的现状,P20(中国経済と日本企業の現状,P21)
 2019年中国经济走向
 从2019年中国经济的开局来看,随着中美贸易摩擦谈判取得一定进展,企业等各方一度恢复信心,经济有望由此好转。为了确保这一趋势能够持续下去,中国政府自年初便开始采取措施,包括一揽子消费刺激政策、减税、降低社保费以及提前发行地方债等。然而,入夏以后,中美贸易 摩擦重燃战火并走向长期化,再加上中小银行面临的经营问题,导致未来的不确定性增强,经济下行压力加大。

 2019年の中国経済の動向
 2019年の中国経済は、米中貿易摩擦に関する協議が進展するもとで、企業等のマインドが一旦は落ち着き、経済の持ち直しが期待される局面から始まった。中国政府はこうした動きを確実なものとするため、年初より、包括的な消費刺激策や減税・社会保険料の軽減、地方債の前倒し発行等を実施した。もっとも、夏場以降は、米中貿易摩擦の再燃・ 長期化や中小銀行の経営問題もあって将来への不確実性が強まり、経済への下押し圧力が高まることとなった。

 2. 中国語版をざっと黙読しながら、意味の取れない単語に印をする。すぐに辞書を引かずに下記の要領で単語の意味を推測する。

 ・文脈から推測する
 ・接続詞から推測する
 ・漢字の成り立ちから推測する

 ・文脈から推測: ここでは本文の上から4行目「重燃战火」という4字熟語の意味を推測してみよう。同熟語を単体で見ると「戦火が再び燃え上がる」という意味だが、文脈から戦争ではなく、米中貿易や銀行経営の話をしていることが分かる。

 ・接続詞から推測: 句は然而(しかしながら)という逆接の接続詞で始まることから、上の句で述べたことから予想される以外の結果が示されていることが分かる。

 そして、「重燃战火」はその後ろに続く「走向长期化」という言葉と并(その上、しかも)という並列を示す接続詞で繋がれていることから、「米中貿易摩擦が再び燃え上がり、長期化に向かった。」という意味にたどりつけるだろう。

 ・漢字の成り立ちから推測: 漢字は部首で意味を、旁(つくり)で発音を表す。例えば「燃」という漢字であれば、「火」という部首で意味を表し、然という旁で「ran」という発音を表す。日中では共通の漢字も多いが、なかには日本では使われていない漢字や意味の異なる漢字もある。意味が分からないときは、部首から漢字の起源をたどろう。

 3. 1文を読み終わったら、中国語版を見て、自分の推測があたっていたかどうか確認する。正確に予測ができなくとも、肯定的(プラス)なことを言っているのか、否定的(マイナス)なことを言っているのかなど、可能な限りの推測をしながら読む癖をつける。こうすることで、文章読解力は格段に向上する。

 4. 意味の取れなかった単語については、グーグル翻訳等、機械翻訳を使って正確な発音を確認・練習しよう。
 「重燃战火」の「重」は多音字で、「Zhong」と読むときは重い、程度が甚だしいという意味になり、「Chong」と読む場合は再び、もう1度という意味になる。この場合はどちらの読み方が正しいのか、グーグルの翻訳機能で発音をチェックして確認してみよう。

 グーグル翻訳(発音チェックも可能)
https://translate.google.com/?hl=ja

 weblio 日中辞典・中日辞典
https://cjjc.weblio.jp/

 外国語学習を行う上で最も大切なことは、継続的に行うことだ。継続のために重要なことは短時間でもいいので毎日必ず行うことだ。仕事で疲れた日などは、ランダムに開いたページを10分間、未知語推測訓練するだけでもよいので、毎日必ず実施しよう。

 次回は同資料を利用して行うスラッシュ・リーディング(Slash Reading)とサマライゼーション(Summarization)の具体的な学習方法について紹介する。(記事:薄井由・記事一覧を見る

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