中部電、HACCP対応の自動解凍機開発 冷蔵庫の最大6分の1の時間に短縮
2020年10月27日 13:06
中部電力は26日、菱豊フリーズシステムズ(奈良県奈良市)と共同で、冷凍食品を時短解凍する機器「Sassa(サッサ)」を開発したと発表した。11月2日から販売を開始し、学校給食センターや食品工場、スーパーを対象に年間60台の販売を目指す。
サッサは、様々な冷凍食材に最適化したミスト気流を流し解凍。冷蔵庫解凍に比べて最大6分の1以下の時間で遜色のない解凍を実現する。ミスト気流は循環させており、冷蔵庫内のどこに置いても解凍ムラが発生しない。自動で温度管理も行う。
導入すれば、食品衛生の初心者でもHACCPに沿った管理ができるようになる。HACCPは2020年から義務化され、猶予期間を経て2021年6月1日には全ての食品事業者に求められるようになる衛生管理の新基準だ。食品が消費者に提供されるまでの工程を管理分析し、異物混入や食中毒菌の汚染を防ぐ必要がある。
冷凍食材は日本の食卓を支えているが、解凍に時間がかかることがネックだった。急激に温めて解凍すると細胞からうま味成分が抜け出し品質が劣化するためで、冷蔵庫で1日程度かけ解凍することも多い。短時間で解凍する方法として、電磁波や流水を使った方法があるものの、解凍ムラの発生や衛生管理が難しいなどの課題を抱えていた。
中部電力は、電気やガスといったエネルギー事業を核に、「省エネ」「医療」「見守り」など消費者や社会が抱える課題解決に役立つサービスの提供に力を入れている。消費者のエネルギー利用技術の研究開発も手掛けており、サッサはその一環とみられる。
協業する菱豊フリーズシステムズは、産業用凍結機や解凍機器、食品プラント向け機器の製造販売を行う企業だ。氷の粒を大きくしない高鮮度維持冷凍(プロトン凍結)と、復元力の高い解凍(プロトン解凍)の技術で事業を拡大している。2017年には伊勢丹新宿本店に「プロトン・コーナー」を展開。経済産業省から「地域未来けん引企業」に選定されるなどしている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る)