関西電力、AIとドローンで次世代型の洋上風力発電目指す
2020年10月21日 16:47
関西電力がドローンとAIを用いた洋上風力発電の研究に本腰を入れる。画像解析技術によって、陸上の発電に比べ高額になりがちな点検コストの圧縮を目指す。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から、助成金も交付されることが分かった。
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日本は欧州に比べ洋上風力発電市場で出遅れており、その大きな原因のひとつがコスト高だ。専用船舶での点検作業が必要で、維持管理に多くの費用が必要とされてきた。関西電力はドローンとAIによる画像解析を用いて定期点検を行うことで、点検コストを下げる計画だ。
画像解析は、緊急停止時の点検にも用いる。点検用ドローンを洋上飛行させ、風車の外観や損傷個所を撮影。AIによる画像解析を行い、損傷判定をする。陸上のコントロールセンターは、遠隔で運転再開や修理などの手配を行う。
洋上風力発電の設備は、落雷など自然災害時に保安のため停止する場合がある。天候によっては風車に近づくことができず、これまで点検を経て復旧させるまでに時間がかかることが大きな課題だった。
世界的に再生可能エネルギーへの取り組みが本格化しているが、日本は欧米に比べ洋上風力発電の分野で遅れをとってきた。だが、ここにきて環境も整いつつある。2019年には、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」も制定された。
日本風力発電協会も世界風力会議と共同で、「日本洋上風力タスクフォース」を立ち上げている。日本における洋上風力の本格的な導入促進実現を目指すと言う。
菅義偉政権下では、この流れが加速しそうだ。河野太郎規制改革相は10月16日、日経新聞のインタビューで、風力や太陽光発電の利用を増やすために、関連する規制や基準を順次緩和すると方針を示している。
再生可能エネルギーの内、日本で導入が著しく進んだのは太陽光発電だが、悪天候の時には発電できないなど課題があった。自然環境に左右されることなく安定的に電力供給できるよう、偏りのない開発が求められている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る)