火星探査機InSightの小型杭打ち装置、見えなくなる深さまで地中にもぐる
2020年10月17日 18:58
NASAの火星探査機InSightは火星着陸から2年近くにわたって地熱測定装置Heat Flow and Physical Properties Package(HP3)のプローブ打ち込みを試みているが、ようやくHP3の小型杭打ち装置(mole)が見えなくなる深さまで地中に進んだそうだ(JPL Newsの記事、DLR Blogの記事)。
moleは柔らかい土壌の摩擦を利用して掘り進む設計になっているが、InSightは想定外の固い土壌に覆われた地点へ着陸してしまったため、作業が難航している。今年5月からはロボットアームに取り付けられたスコップでmole後部のキャップを押して(叩いて)地面に押し込む作業を開始し、6月には地中へ押し込むことに成功していた。
6月20日(Sol 557)にはmoleが自力で掘り進むことができることを確かめる「Free Mole Test」を完了。その後はスコップに角度を付けてさらに押し込む作業を進めていたが、8月下旬からは砂嵐で太陽電池の発電能力が低下し、moleの作業にコマンドを送信できるのは2週間おきになっていたという。それでもmoleとInSightをつなぐテザーの動きからmoleが地中を進んでいることが予想されており、10月3日(Sol 659)にスコップをどけてmoleが完全に砂に埋まる深さまで進んでいることを確認した。
10月17日(Sol 672)にはスコップを2つのずらした位置で平行に動かす作業を行い、その後熱伝導性の測定を行う。今後はさらなる押し込み作業とFree Mole Testの実施に備えて摩擦力を強化するため、moleを覆う砂を押し固め、必要に応じて砂を追加する。押し込み作業の再開は2021年に入ってからになるとのことだ。