「英語で考える」を実現するには大量のリスニングからスタートすべき理由

2020年10月16日 07:13

 英語力アップには、いちいち頭の中で日本語に翻訳するのではなく、英語で考えることが重要だと言う。よく言われることだが、これはそう簡単なことではない。初学者においてはもちろん、TOEIC等の試験である程度得点できる中級者でも、「日本語を排して英語だけで考えるようにしろ」と言われてもかなり難しく感じるのではないだろうか。

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■英語で考えなければならない理由

 どんなに難しくても、英語上達の過程において、日本語翻訳式を捨てて英語で考えられるようになることは必須である。日本語と英語では1つの単語でもまったく意味が同じということはない。そのため、翻訳式を通したところで、「ネイティブはそんなふうに言わない」と言われてしまうのがオチだ。

 もしくは、日本語では意味が通りそうに思えても、英語にしたらまったく意味が通じないなんてこともあり得る。たとえ意味が通じたとしても、いちいち聞いた英語を頭の中で日本語に直して理解し、言いたいことをまた頭の中で日本語から英語に訳してから話すというやり方では時間がかかって仕方ない。

 また、時間がかかるだけでなく脳にも負荷がかかる。人は相手がしゃべったことを逐一覚えているわけではなく、相手の言いたいことの要旨を捉えて理解しているからこそ、長時間会話していても疲労を感じないわけだ。

 にもかかわらず、ただ相手の言いたいことを理解するだけのために、いちいち「相手の発話をいったん正確に記憶し、それを頭の中で翻訳して日本語として理解する」というプロセスを辿る。さらに、こちらが英語を発話する際にまた逆のプロセスを辿らなければならないとしたら、気力、体力ともにとても長時間の会話には耐えられないだろう。

■パッシブ・リスニングからアクティブ・リスニングへ

 というわけで、何はともあれ翻訳式の理解から、英語で考えることを習慣化することが大切なのだが、では、いったいどこから始めればよいのだろうか。まず、必要な心構えとして「焦らないこと」を挙げたい。どんなに頑張ったところで、一晩では英語で考えられるようにはならないのだから、長期戦と構えてじっくり取り組む決意が必要だ。

 初学者の場合は、パッシブ・リスニングから始めよう。パッシブ・リスニングとは、文字通り受動的なリスニング方法のことで、ただ聞こえてくる英語に耳を傾けるだけでよい。

 理解しようと努めることは大切だが、全身全霊を傾けて努力して聞き取る必要はない。それでは続かないから、最初は気楽に英語の音に慣れるだけぐらいの気持ちでいいだろう。ただし、時間の許す限り耳に大量の英語を浴びせることが大切だ。

 パッシブ・リスニングの次にはアクティブ・リスニングへと移る。この段階では、出会う単語、イディオム等すべて調べ、語順やコロケーションにも意識を向ける必要がある。こうしたトレーニングを続けることで、自分が英語で考える時に誤りがあれば「何かが違う」と自然に気付けるようになるだろう。

 「英語で考える」を実現するには、アクティブ・リスニングで終わりではなく、実際に考えて発話するトレーニングも必要だ。ただ、そこに至るためにも段階を踏む必要があるため、その詳細は次の機会に述べるとして、ここでは「大量のリスニングこそがすべてのスタート地点である」ということを強調しておきたい。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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