2020年ノーベル経済学賞はオークション理論を発展させた米国の2氏が受賞

2020年10月13日 17:52

headless 曰く、 2020年のノーベル経済学賞は米国のポール・R・ミルグロム氏ロバート・B・ウィルソン氏共同受賞した。授賞理由はオークション理論の改良と新しいオークション形式の発明(プレスリリース一般向け情報詳細情報)。

オークション対象財の価値には共通価値と私的価値がある。共通価値は事前に知ることはできないが、最終的には誰にでも同じ価値を示すもので、入札者はそれぞれの情報を元に共通価値を予測して入札する。しかし、落札額が実際の共通価値を上回る場合、落札者が損をする「勝者の呪い」が待っている。ウィルソン氏は共通価値を持つ財を対象にしたオークション理論を開発し、合理的な入札者が予想している共通価値よりも低い額で入札するのは勝者の呪いを恐れるためであることを示した。

入札者ごとに異なる私的価値は、落札した原材料をどのように加工するか、落札した商品をどのように販売するか、といった手段を入札者が持っているかどうかにも左右される。そのため、多くのオークション対象財は共通価値と私的価値の両方を持つことになる。ミルグロム氏はオークション理論を共通価値だけでなく私的価値を含めることができるよう一般化。他の入札者が予想する共通価値を知ることができるイングリッシュオークション形式では勝者の呪いの影響が小さくなり、出品者がより多くの収益を得られることを示した。

2氏はオークション理論を発展させただけでなく、周波数オークションで用いられる「同時複数ラウンドオークション(SMRA)」を開発。SMRAは不確定性と勝者の呪いの問題を低減することが可能であり、米連邦通信委員会(FCC)が1994年に初めて使用して以降、多くの国で使われるようになっている。これにより、2氏は理論と実践の両面で社会に大きな利益をもたらした。

なお、今年のノーベル賞は受賞者が一堂に会する授賞式を行わず、受賞者がビデオリンクで参加するデジタル形式の授賞式が行われる。詳細については後日発表するとのことだ。

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