観光業界、「ワーケーション」がトレンドに

2020年9月28日 15:34

 新型コロナウィルスで大きなダメージを受けている観光業界で、今トレンドになっているキーワードが「ワーケーション」だ。ワーケーションとは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語。温泉地や観光地など非日常的な空間に身を置きながら、仕事をするという新しい働き方を指す。

 西武グループで約70のホテルを運営するプリンスホテル(東京都豊島区)は、国立公園内のホテルで仕事をしながら、その土地ならではの体験を提供する「ご当時ワーケーション」の提案をはじめた。

 ザ・プリンス箱根芦ノ湖の「リゾートワーケーションプラン」では、会議室の手配などビジネスサポートを提供。同時に温泉やゴルフ9ホールの無料プレゼントを行う。

 星野リゾートも、6施設でワーケーションステイを提案する。集中して仕事ができるWifi完備のリビングスペースを用意。仕事が終わりオフタイムになれは、景色やホスピタリティーで「圧倒的な非日常感」を顧客に体感してもらう。

 10月22日と23日には、和歌山県の南紀白浜を舞台に初の「ワーケーション・リーダーズ・サミット」が開催される。「5年後の働き方コンソーシアム」が主催しており、後援会やワークショップ、パネルディスカッションに参加しながら実際にワーケーションを体験する。

 パネルディスカッションには日本航空や三菱地所、ユニリーバ・ジャパンなどワーケーションの先進企業が登壇し、成功事例を共有すると言う。

 リモートワークが進み、働く場所に捉われない企業や人が増えてきた。その機運を活かして、瀕死の観光業界を蘇生させようと民間のみならず官も必死だ。安倍政権時代には、内閣官房長官だった現菅首相が観光戦略実行推進会議でワーケーションの推進を打ち出した。その後菅官房長官はネット番組で自ら「ワーケーション」を実施したいと明言。注目を集めた。

 オフィスにない解放感と充実感が得られるワーケーション。非日常的な刺激が仕事にも良い作用をもたらすと期待は高い。それに反応する人や企業をどれだけ呼び込めるかに、ワーケーションの拡大はかかっている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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