パナソニック、ポートフォリオ改革と経営体質強化により収益拡大を目指す
2020年9月28日 17:45
パナソニックは9月18日、ビジネスの現場で、対面でのコミュニケーションを活性化するワイヤレスプレゼンテーションシステム「PressIT」を10月から発売すると発表した。デスプレィやプロジェクターなどの映像表示機器に受信機を接続し、手元のパソコンやタブレット、スマートフォンに送信機を接続することで、簡単に画面共有でき、ワークショップやブレインストーミングに活用できる。
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パナソニックは、1917年に松下幸之助が大阪市で電球用ソケットの製造で創業した。1931年にラジオ生産を開始、1935年に松下電器産業へ改組、以後各地に工場の新設・増設を行い、2008年にパナソニックへ商号を変更。総合エレクトロニクスメーカーとして発展した。
2020年3月期の売上高は7兆4,906億円。全社調整を除くカンパニー別の構成比は、家電や空調関連製品などのアプライアンス社が30.2%、電設資材や電動アシスト自転車などのライフソリューションズ社が22.2%、車載機器や車載電池などのオートモーティブ社が17.2%。以下、インダストリアルソリューションズ社が14.9%、コネクティッドソリューションズ社が12.1%、その他が3.4%を占めているパナソニックの動きを見ていこう。
■前期(2020年3月期)実績と今期見通し
前期売上高は7兆4,906億円(前年比6.4%減)、営業利益は前年よりも1,177億円減の2,938億円(同28.6%減)であった。
営業利益減少の要因としては、コロナ影響の売上減により890億円、前年度に資産売却益などを計上した反動でその他損益が774億円、住宅事業の非連結化により133億円、海外比率52%の中前年より円高(1ドル111円->109円、1ユーロ128円->121円、1元16.5円->15.6円)により118億円の減益であった。
一方、合理化効果により432億円、固定費削減により306億円の増益があった。
今期第1四半期(4-6月)売上高は1兆3,919億円(前年同期比26.4%減)、営業利益は38億円(同93.3%減)とコロナの影響により大幅減収減益の中、今期は売上高6兆5,000億円(前年比13.2%減)、営業利益1,500億円(同48.9%減)を見込んでいる。
■新中期戦略(2020年3月期~2022年3月期)による推進戦略
ポートフォリオ改革と経営体質の強化により収益拡大を目指して次の戦略を推進する。
●1. 基幹事業の基盤強化とビジネスモデル進化で収益拡大
・快適な空間を提供する空間ソリューションビジネスの拡大と海外販売の拡大。
・「モノをつくる、運ぶ、売る」などの現場プロセスを革新、ロールモデル化し、水平展開。
・強いデバイスを核としてシステム力を強化し、インダストリアルソリューションの拡大。
●2. 共創事業は、パートナーや地域との共創で競争力強化
・住宅はトヨタ自動車と合弁会社を設立、くらしの新たな価値創出。
・家電は日中連携で競争力を強化し、磨いた強みを広域アジアへ展開。
●3. 再挑戦事業の収益性改善
・角形車載電池は、トヨタ自動車と合弁会社を設立、両社の強みを融合。
・オートモーティブ、円筒型車載電池は、事業の立て直しによる利益改善。
●4. 事業の選択と集中による経営体質の強化
・半導体事業の譲渡など不採算事業の整理。
・間接業務の効率化、固定費の削減。
巨大企業パナソニックの改革推移に注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)