米加州、35年までに化石燃料車の新車販売禁止へ 石油・自動車業界に衝撃
2020年9月27日 08:23
日経新聞の報道によると、米・カリフォルニア州のニューサム知事は23日の会見で、『2035年までに州内でのガソリン車・ディーゼル車を販売禁止とする』との方針を明らかにしたという。ついにオイルマネー大国・米国でも、化石燃料車の全面禁止に踏み切る姿勢を示唆した形だ。
これに対し米石油業界と自動車業界は即反発し、自動車イノベーション協会(AAI)は同日に不満を露わにしている。実は、カリフォルニアは連邦政府にて独自政策の実施が認められており、その規制は他州に大きな影響力を及ぼす。23日の会見でニューサム知事は、『これは米国全体が従うべき政策』だと主張していることから、米国内で足並みがそろう可能性もある。
この脱化石燃料車の動きは世界規模で活発化している。まず世界に先駆けて、2016年に中国政府がガソリン車から電気自動車への移行を国策として掲げ、2019年1月より化石燃料車工場の新設禁止を実施している。また2017年には、フランスやイギリスが2040年までに化石燃料車の販売を終了すると公表し、ノルウェーは2025年には化石燃料車の新規販売をストップする政策を打ち出している。
つまり、ガソリン車・ディーゼル車は2025年のノルウェーを皮切りに、その販売台数を大幅に縮小することになりそうだ。少なくとも2040年には新車販売が難しい状況まで追い込まれるだろう。
そこで、国内の自動車メーカーの対策を確認しておく必要がある。現時点で電気自動車や水素自動車の技術を確立していないメーカーは競争力を失い、生き残れないかもしれない。
となると、早くからEV車の開発に力を入れてきた日産は巻き返しのチャンスとなる。一方マツダやスバル、ダイハツやスズキといったEV技術・次世代エネルギー対応車の技術で出遅れているメーカーは、場合によって吸収合併される可能性もある。すでに予見されていることではあるが、このニュースによって自動車業界は否応なく再編成を余儀なくされたと言えるだろう。
なお、石油産業にも目を向ける必要がある。WTI原油市場はコロナ禍で記録したマイナス価格から大きく回復し、今や40ドル/バレルをキープするまでになった。しかし世界的な脱化石燃料・脱化石資源によるニーズ縮小のなか、さらに化石燃料車の廃止となれば産油国をはじめ、石油関連企業は大きな打撃を受けざるをえない。20年後には多くの石油関連企業が規模縮小・閉業している可能性もある。
つまり今、個々の投資家はポートフォリオの徹底見直しをすべきだろう。エネルギー業界や自動車業界、交通・物流の業界にも脱化石燃料車の影響が大きく及ぶことになるからだ。現時点で対策が整っていない企業は、いったんポートフォリオから外しておくべきかもしれない。(記事:TO・記事一覧を見る)