クルマのエンジンコンディション、良好に保つには元気よく走らせることも必要
2020年9月26日 17:59
クルマを久しぶりに高速道路で走らせると、一般道路に降りた途端にエンジンの調子が良くなったことに気が付くことが多い。これは錯覚でもなんでもなく、エンジンにとって最適な燃焼が高速道路走行で促進されたからだ。エンジンはいつもゆっくり走れば良いものではなく、ある程度エンジンを回して走ることがコンディションを保つカギだ。
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現代のクルマは、コンピューターで燃料と空気の量を細かく制御され、常に最適な状態でエンジンが始動できるようになっている。そのため、誰でもエンジン始動して走らせることが可能だが、エンジンの燃焼システムは昔と何ら変わっていない。
そこで、エンジンに最も負担がかかるのが、エンジン始動直後の温まっていない時期だ。これは少しそこまでクルマを走らせるような運転の仕方で、エンジン始動してから水温が上昇しないうちにエンジンを止めるような走行を繰り返すことである。
エンジン始動直後は、エンジンが冷えているため燃焼が安定しない。そこでコンピューターは燃料を普段より多く噴射してエンジンパワーが安定するよう制御している。しかし、エンジン温度が適温になり安定した燃焼ができる前にエンジンを止めると、カーボンがエンジン内に蓄積する。
このような運転を繰り返すと、エンジンは知らず知らずのうちにパワーダウンと燃費の悪化が進んでしまう。そこでカーボンの蓄積を抑えるためには、ある程度エンジン回転を上げた走行を続けることでエンジン内の温度を上げて、カーボンを燃焼させる必要がある。
クルマを運転する時には低速でゆっくり走るより、ある程度エンジン回転を上げて走ることが重要だが、一時的な急加速のような走り方では効果が薄い。
というのも加速中は数秒で終了するのでエンジン内のカーボンやスラッジを燃焼させるまでには至らない。そこで、チョイノリしか行わないクルマは、1週間に1回でも10km程度を60km/h以上で定速走行できる機会を設けることが必要だ。
それには、高速道路を定速走行するようにすれば、カーボンやスラッジが燃焼して除去され、快適なコンディションを保つことができるということだ。
ゆっくり走ることは、クルマにも環境にも良いということは間違いではないが、あまりにも短時間で低速走行を繰り返すことは、エンジン内部に汚れを堆積させ燃費を悪化させ、最悪エンジン不調の原因にもなるだろう。それを避けるには、定期的にアクセルを踏んでエンジンを回して走ることも重要だ。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)