EV充電貯蔵システム、採用拡大へ期待もコスト面と環境への影響が課題

2020年9月16日 08:21

 欧州や中国では2025年までにプラグイン車の生産は1100万台を超える見込みであるのに対して、日本では100万台未満の現状で世界的には日本はxEVの普及で大きく遅れをとっている。

 EV普及のポイントは何といっても充電インフラの整備だが、低価格で高速の充電がカギとなる。さらに環境への影響、再生エネルギーとの関係も重要だ。日本においても都市部においては充電ステーションの数も増えているようだが、欧米・中国と比べその数は未だxEVの普及に十分なものとはいえない。

 高速充電を可能にする方法として充電ステーションにエネルギー貯蔵システムを組み込むことが考えられるが未だ技術上の課題も多く。低価格・高速充電の実現にはいましばらく時間がかかりそうだ。

 市場調査業のグローバルインフォメーションが8日にEV充電市場に関するレポート「EV充電用エネルギー貯蔵システムの世界市場:住宅、商業施設向けの先進的なバッテリー搭載EV充電器」を発表している。

 レポートでは、EVの普及が進むに従い当然最寄りの高速EV充電が可能な充電インフラへの需要が高まり、このためEVの成長を加速させるためには低価格でインフラ導入に多額のコストがかからない充電ネットワークによる高速充電が可能にならなければならないと指摘している。

 その解決策の一つが充電ステーションにエネルギー貯蔵システムを組み込むことだ。バッテリーストレージシステムでは低需要時にはグリッドから電力を供給しピーク時には電力を放出してEV充電することが可能となる。エネルギー貯蔵はまた需要ピークをクリアするピークシェービング機能を効率よく果たすだけでなく、太陽光発電などの再生可能エネルギー資源を使ったEV充電ステーションへの統合を実現するためにも必要な手段となる。

 以上のようにEV用エネルギー貯蔵への期待は大きいものの、EV用エネルギー貯蔵で用いるグリッドへの負担を軽減するバッテリーストレージの統合は多くの企業で高コストの克服が課題となっている現状のようだ。エネルギー貯蔵がピークシェービングと充電能力の向上を実現することは間違いないが、現況ではバッテリーストレージの高コストと環境への悪影響が課題となり採用拡大に至らない状況だ。エネルギー貯蔵システムを組み込んだ充電ステーションの普及にはいましばらく時間がかかる見込みだ。(編集担当:久保田雄城)

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