トヨタとホンダ、協働で移動式発電・給電システム「Moving e」の実証実験開始

2020年9月9日 08:27

 トヨタ自動車と本田技術研究所は、大容量水素を搭載する燃料電池バスと、可搬型外部給電器・可搬型バッテリーを組み合わせた移動式発電・給電システム「Moving e(ムービング・イー)」を構築し、いつでも・どこでも電気を届ける実証実験を開始すると発表した。

 これは近年、台風や豪雨などの災害で電力会社の送電網がダメージを受け、家庭や避難所に電気が送れないという問題が発生していることを受けて、開始する実証実験だ。

 この問題に対して、トヨタとホンダは両社の燃料電池関連の技術を持ち寄り、移動式発電・給電システムを構築して、電気を届ける実証実験を行なう。

 システムが燃料電池バスを中心とした移動式のシステムであるため、災害時には災害対応の一助として被災地で電力供給を行なう一方、平常時にもイベントなどで日常的な活用が可能な“フェーズフリー”のシステムといえることがポイントだ。両社は今回の実証実験を通じて、ニーズや使い勝手を検証するという。

 実証するr移動式発電・給電システム「Moving e」はトヨタの燃料電池バス「CHARGING STATION(チャージングステーション)」と、Hondaの可搬型外部給電器「Power Exporter(パワーエクスポーター)9000」、可搬型バッテリー「LiB-AID(リベイド)E500」、電動二輪車向けの「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」、モバイルパワーパックの充電・給電器「Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Concept(チャージアンドサプライ コンセプト)」で構成され、「CHARGING STATION」にすべての機材を積み込んで必要な場所へ移動し、電気を供給できる。

 具体的には燃料電池バスを電源とし、可搬型外部給電器・可搬型バッテリーを用いてバスから電気を取り出し、電気製品に電気を供給する。

 トヨタの燃料電池バス「CHARGING STATION」は、従来型の「トヨタFCバス」をベースに高圧水素タンクの本数を倍増させて水素搭載量を大幅に増やすことにより、高出力かつ大容量の発電能力(最高出力18kW、発電量454kWh)を備えており、災害などによる停電時には「Power Exporter 9000」を介して、発電した電気を可搬型の大容量バッテリー「Honda Mobile Power Pack」や「LiB-AID E500」に貯めることで、避難所などの屋内や車内などで電気が使用できる。

 なお、「CHARGING STATION」は車内に仮眠が取れるスペースを作っており、災害発生時には、休憩の場所としても活用することがでる。

 移動式発電・給電システム「Moving e」は、提供の条件が整い、実証に協力頂ける自治体や企業が活用することで、フェーズフリーなシステムであることを実証していく。

 実験の開始時期は2020年9月からで、派遣可能エリアは燃料電池バス対応の水素ステーションより100km程度までを目安とする。電力供給量は最大約490kWhで、現場まで往復200km走行した場合は約240kWh程度となる模様。

 移動式発電・給電システム「Moving e」は、以下の機材・メカニズムで構成する。燃料電池バス「CHARGING STATION」1台、外部給電器「Power Exporter 9000」2台、可搬型バッテリー「Honda Mobile Power Pack」36個、「LiB-AID E500」20個、充電・給電器「Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Concept」36台となる。(編集担当:吉田恒)

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