バフェット氏がゴールドマンや米4大航空株処分し日本の5大商社株を大量購入

2020年9月9日 11:42

 NKHニュースは特集記事で、世界トップの投資家であり世界長者番付5本の指に入るウォーレン・バフェット氏が、日本の大手商社株を大量購入していることを取り上げている。バフェット氏が率いる米大手機関投資家・バークシャー・ハサウェイは、先の株主総会の場で『日本の5大商社株をそれぞれ5%超まで購入した。今後は最大で9.9%まで買い上げる可能性もある』と公表している。

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 この発表を受けて、翌日の東京株式市場大きな値動きに転じる。5大商社株は軒並みチャートに窓を開けて急騰を見せ、その後2~4営業日をかけて8月30日の終値から10%前後高騰した。日本の商社株はコロナ禍の影響を受け、2月末以降大きく値を下げてきた経緯がある。5大商社も、それそれ30%前後の大幅下落をしてからの回復であった。つまりバフェット氏は底値あたりで大量に株式の購入ができた格好だ。

 ここで、バフェット氏のコロナ禍の出投資動向を振り返ってみよう。コロナ禍の間に、ハザウェイは保有銘柄のポートフォリオを見直しているという。まず、ゴールドマン株を8割も売却した。また、JPモルガン・チェース株の一部や大手地銀株を処分するなど米銀行株を整理していると公表した。9月2日には、『コロナ対策で大打撃を被った米4大航空会社に関して保有するすべての株式を売却した』とも述べている。

 その代わりに、売却資金で日本の4大商社株を底値で拾い集めたのだろう。つまり世界経済のシフトチェンジを冷静に判断し、大々的に投資対象の入れ替えを行っているわけだ。これまで世界のマーケットは、絶えずバフェット氏の投資動向に注目してきた。それは同氏が動かす1400億ドル(約15兆円)もの巨額な投資資金によるところが大きい。

 実際に、今回の日本商社株の急騰振りを見れば一目瞭然だろう。各銘柄のチャートを見ると、一様に4月末あたりから値を上げ始め、伊藤忠商事と三井物産はコロナ禍前の水準まで回復している。これはハサウェイが米銀行株などを売却している時期と符合する。

 なおハサウェイが5大商社株に投じた資金は、トータルで60億ドルにのぼるという。また、保有した商社株については長期保有することも示唆している。これはバフェット氏のバリュー投資のスタンダードである。

 幸か不幸かコロナ禍で大幅下落した5大商社株が割安であり、今後の企業収益回復が明らかだと判断したからこそ巨資を投じているのだ。実際、日本の商社はコングロマリット経営を実践しており、グローバル社会において多角的営業戦略を展開している。そのため、現時点でマイナス要因が膨らんでいるとしても、今後新たに成長する分野を確保していることや、あるいは市場を開発する力が十分にあると期待できる。

 要するにバフェット氏は、昭和の高度成長期からバブル期をけん引してきた実績を持つ日本の商社を、今なお高く評価しているということだ。すると、個人投資家も同氏の投資動向を有効利用することができるのではないだろうか。現物株に商社株を大幅に加えて長期保持をすることで、利益アップの確実性を高める可能性がある。5社のうち出遅れ感のある丸紅と三菱商事、住友商事は、現時点でも買い時と言えるかもしれない。(記事:TO・記事一覧を見る

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