日本電気硝子、力強い成長で世界一の特殊ガラスメーカーを目指す

2020年9月7日 17:41

 日本電気硝子は9月2日、同社の超薄型ガラスが、ヨーロッパで3M社製溶接用ヘルメットの最新モデルに採用されたと発表した。局面形状の自動遮光フィルターを装備した溶接用ヘルメットとしては、世界初という。超薄型ガラスは、自動遮光フィルターの液晶モジュールの基板として複数枚使用されており、局面形状の実現とヘルメットのスリム化に大きく貢献している。

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 日本電気硝子は1949年、日本電気から分離独立し、真空管用ガラスや管ガラスを手吹きで生産開始した。1951年、ダイナーマシンによる自動成形に成功し、1965年にはブラウン管用ガラス事業に進出、特殊ガラスメーカーに成長してきた。

 2019年12月期の売上高は2,571億円。部門別の構成比は、薄型パネルディスプレイや化学強化向けなどのガラスを生産する電子・情報部門が52%、建築や照明用などのガラスとガラスファイバ、ガラス製造機械を生産する機能材料・その他部門が48%を占める日本電気硝子の動きを見ていこう。

■前期(2019年12月期)実績と今期見通し

 前期実績は、売上高が前年よりも431億円減の2,571億円(前年比14.4%減)となった。

 売上高減少の要因としては、薄型パネルディスプレイ用ガラスの販売減や価格下落、スマホ需要減による化学強化ガラス減などがあった電子・情報部門が前年よりも179億円減の1,343億円(同12.2%減)、自動車部品・電池向けの不振によるガラスファイバの減や耐熱ガラスの低調により、機能材料・その他部門が252億円減の1,228億円(同17.1%減)であった。

 前期営業利益は、売上高の減少と原燃料価格の上昇、欧米ガラス繊維事業の収益改善の遅れなどにより、前年よりも89億円減の159億円(同35.9%減)であった。

 今上半期(1-6月期)の売上高は1,153億円(前年同期比13.6%減)、営業利益は77億円(同17.6%減)の実績を受けて、今期見通しは、売上高が2,300億円(前年比10.7%減)、営業利益は120億円(同26.2%減)を見込んでいる。

■中期経営計画(2019年~2021年)による推進戦略

 「世界一の特殊ガラスメーカー」の実現に向け、力強い成長により、売上高3,000億円(前期比16.7%増)、営業利益250億円(同57.2%増)を目指して次の戦略を推進する。

●1.新製品の開発、製造プロセスの革新に向けて、全工程、全事業が一体となった研究開発体制の整備

●2.重点的戦略投資の推進

 ・LEDパッケージや通信モジュールなどに使うLTCC(低温同時焼成セラミックス)製造販売の合弁会社設立。
 ・M&Aや他者との協業などのための戦略的な投資枠を3年間で500億円設定。

●3.事業別の推進戦略

 ・ディスプレイ用ガラス事業は生産効率アップ、中国への成形設備移設による増産対応。
 ・ガラス繊維事業は、欧米拠点の生産性改善による黒字化の実現、高弾性ガラスファイバやフラットファイバなど高付加価値製品の拡大。
 ・光関連、電子デバイス用ガラス事業は5Gや車載への対応強化。
 ・医療用ガラスは2020年8月にマレーシアへ最新鋭設備を導入し、新興国市場へ投入。
 ・建築、耐熱ガラスは新製品開発と海外拡販の推進。

 ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、豊かな未来を切り拓く理念のもと力強い成長を目指す日本電気硝子の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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