日本企業のDX、アフターコロナで守りのDXから攻めのDXへ
2020年9月4日 08:52
経済産業省はかねてより日本産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推し進めようとしている。DXとは、経産省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」(2018年12月)によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とされている。
経産省のレポートによれば、このままでは日本産業の「IT人材の不足」と「古い基幹システム」の2つが障害となり25年から30年までの間に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるという。日本企業のDX化は喫緊の課題だ。
日本のDX化の現況について、先月25日に矢野経済研究所が「DXに関する動向調査」の結果レポートを公表している。調査期間は今年の5~7月、対象は国内の民間企業および公的機関523社・団体だ。
調査では、攻めのDX(革新的な取り組み)への意欲と守りのDX(IT刷新)に対する意欲を8段階の数値で評価している。数値が大きいほど積極的であることを示す。調査の結果、523社の平均値は攻めのDXが3.37、守りのDXが3.78で、両者とも「普通」を示す5を下まわっており企業のDXに対する態度は消極的なようだ。
わずか0.41ポイントではあるが「守りのDXへの意欲」が「攻めのDXへの意欲」を上回っており、日本企業の革新的な取り組みへの意欲が乏しく保守的な態度が現れた結果となっている。「守りのDX」については初めて聞いたと答えた企業の割合は2.3%であったのに対して、革新的な取り組みである「攻めのDX」について初めて聞いたと回答した企業は20.5%と多くなっており、ユーザ企業におけるDXに対する理解は乏しく、特に「攻めのDX」についてはその認知自体が未だ不十分な状況なようだ。
「攻めのDX」への意欲が高いのはサービス業だが、その背景にはコロナ禍で対面営業が困難になったなどの克服すべき課題が増加したことがある。こうした点からもアフターコロナで、「攻めのDX」は21年以降徐々に普及期へ移行するものとレポートでは見込んでいる。(編集担当:久保田雄城)