バス車内で新型コロナ感染者から23名に感染 空調が影響か 中国で
2020年9月4日 11:40
人口密度の高い都市部では、満員電車等の密閉した空間での新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の空気感染が懸念される。中国浙江省のバス車内で、新型コロナウイルスの感染者が同乗者23名に感染させたという研究報告が、米JAMA Internal Medicine誌に1日付で掲載されている。バス車内は十分に喚起されていなかったという。
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■バス車内での空気感染か
論文を発表したのは、米国・ジョージア大学、テュレーン大学、中国・寧波疾病予防管理センターなどの研究者らから構成されるグループだ。中国東部・寧波市での仏教のイベントに参加するため、2台のバスで移動する128名に対しコホート研究が1月に実施された。128名は感染者1名を除き武漢からの訪問者との接触はなく、新型コロナウイルスに感染していなかったという。
68名を載せた一方のバスには新型コロナウイルスの感染者が乗車していた。この感染者は咳などの症状を示さなかったという。150分の宗教イベントに参加するために、往復で100分間バス移動があった。現在では不織布マスクなどを身に着けることが慣例となっているが、1月の時点ではマスクの着用はなかった。
結果、68名のうち23名が新型コロナウイルスに感染していたという。感染者から1~2メートルの範囲内では飛沫感染の可能性が高い領域だが、領域外であるバスの前方や後方で感染した同乗者も確認された。これは、飛沫が空気中を移動できることを示唆するという。
■空調が新型コロナウイルスの拡散に貢献
研究グループによると、換気の悪いバス車内での空調が、新型コロナウイルスを含んだ飛沫を循環させ、ウイルス拡散に貢献した可能性があるという。密閉された環境での感染力が高いことを示唆する。
研究グループは、新型コロナウイルスの空気感染が公衆衛生対策で重要な意味をもつだろうとしている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)