日機装、グローバルな事業基盤強化により成長を目指す

2020年8月31日 18:17

 日機装は8月24日、深紫外線LEDを活用した空調設備向け除菌・消臭ユニット「Aeropure・Duct(仮称)」を開発したと発表した。

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 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、深紫外線LEDフィルターと光触媒フィルターとの複合技術により、ダクト内を流れる空気を除菌・消臭し、浄化された空気を室内へ供給する。今後、住宅・マンション向けや、飛行機・電車などの交通インフラ、商業ビルなど幅広い市場向けに製品を展開していく。

 日機装は、1953年に「特殊ポンプ工業株式会社」として創業され、1959年日本機械計装へ社名変更。1960年、日本で最初の人工心臓を東京大学へ提供した。1961年に東京証券取引所第2部に上場し、1967年、人工心臓装置の販売を開始、1968年に現在の商号へ変更した。

 2019年12月期の営業収益は1,658億円。部門別の構成比は、ポンプ・システムや産業用機器などの工業部門が62.6%、人工透析装置や血液透析などの医療部門が37.4%を占める日機装の動きを見ていこう。

■前期(2019年12月期)実績

 前期実績は、売上収益1,658億円(前年比0.3%増)、営業利益は前年よりも22億円増の125億円(同21.0%増)で、いずれも過去最高を更新した。

 営業利益増加の要因としては、往復動ポンプの好調なLEWA社や、LNG受入基地で使用されるクライオポンプのCIグループなどの好調で工業部門が35億円、粉体計測機器事業の売却益などで全社調整その他が16億円の増益であった。

 一方、急性血液浄化療法事業の減損損失と、国内血清装置の販売不振で医療事業が21億円、海外売上高比率64%の中、前年よりも円高(1ドル111.0円->109.6円、1ユーロ127.0円->122.5円)になったことで為替差損で7億円の減益となった。

 今上半期(1-6月)実績は、売上収益748億円(前年同期比5.2%減)、営業利益42億円(同17.0%増)の中、新型コロナウイルスで合理的見積もりが困難なため、通期見通しは非開示としている。

■新中期経営計画(2020年~2025年)による推進戦略

 長期的スパンでの事業基盤強化により、2025年に売上収益2,500億円(前期比50.8%増)、営業利益200億円(同60.0%増)を目指して、次の戦略を推進する。

●1.技術力、生産体制の強化

●2.国内、海外一体での事業推進体制の構築

●3.事業別の推進

「工業部門」
 ・深紫外線LED技術を活用した除菌、消臭ユニット増産体制の確立と各業界との用途拡大への取り組み推進。
 ・産業ガスのプロセス機器分野でトップレベルの米国CIグループの技術を活用したLNG事業の強化により、クリーンエネルギーの普及に貢献。
 ・航空機の安価な輸送システムと環境負荷低減へ向けて、ベトナム新工場で部品生産拡大。
 ・液体クロマトグラフィ、粉体計測機器など不採算事業の整理。

「医療部門」
 ・中国大手医療器具メーカー威高集団との連携による血液透析事業の拡大。
 ・急性血液浄化療法事業の減損損失計上と事業再構築。

 事業基盤の強化を主眼とし、技術力の向上と生産体制の再編、グローバルな事業推進体制の強化により飛躍を目指す日機装の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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