地銀初のデジタル地域通貨提供へ、南島原市とふくおかFGなどが検討開始

2020年8月29日 08:35

 アイリッジの連結子会社であるフィノバレーは28日、ふくおかフィナンシャルグループと、同グループの銀行であり、いずれも長崎県に本店を置く十八銀行および親和銀行と、長崎県南島原市におけるデジタル地域通貨の検討を開始する基本合意書を締結したと発表した。

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 地方自治体と地方金融機関の連携によるデジタル地域通貨の提供は、地方銀行初という。デジタル地域通貨サービスの開始時期は、2021年2月を目標としており、地域経済と地域コミュニティの活性化を目指す。

 フィンテック事業を展開しているフィノバレーは今後、同社が提供しているデジタル地域通貨ブラットフォーム「MoneyEasy」の提供に関して、検討を進めていくという。「MoneyEasy」は、決済システムをメインとしているが、これまでも地域活性化を目的として、岐阜県飛騨高山地域の「さるぼぼコイン」や千葉県木更津市「アクアコイン」に関して、行政と連携し導入されてきた実績を持つ。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、キャッシュレス決済が広く利用されることになったことも後押しした。デジタル地域通貨であれば、導入した地域の経済活性化に繋がる。自治体がデジタル地域通貨利用時に補助金などを交付することで、市民の利用意識も高まり、地域事業者の支援にもなる。

 コロナ禍において、地域商品券は全国各地で発売されている。今回のようなデジタル地域通貨となれば、今後デジタルの側面を活かし、通貨以外の使い道も広がると考えられる。

 すでに今回の基本同意書においても、地域情報インフラ、行政システムのデジタルツール化としての活用も検討していくとしている。これらを通じて、南島原市の活性化について検討していくという。

 長崎県南島原市は、長崎県島原半島南部に位置し、人口は約4万5000人。世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産である原城跡、日野江城跡がある。(記事:大野 翠・記事一覧を見る

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