大卒(来春卒業)求人倍率1.53倍、2月から微減 下降局面の入り口か
2020年8月26日 12:34
リクルートおよびリクルートワークス研究所は8月6日、2021年3月に大学を卒業する学生に対する求人倍率の調査結果を公表しました。今年度はコロナ禍の及ぼす影響調査も兼ねて春と夏の2回行われました。春の調査では前年対比0.11ポイントマイナスの1.72倍、夏の調査では春と比べて0.19ポイントマイナスの1.53倍となりました。つまり、コロナ禍の影響を受け、当初予定から約0.2ポイント求人愛率が減少し、前年度と比べて0.3ポイント低いという結果となっています。
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■リーマンショック時より早く影響が出ている
毎年実施されているこの調査は、通常は公表された年の3月までに実施されます。今年に限り、新型コロナ感染症の影響を評価するため、6月に追跡調査が行われました。
表1は就職希望者を棒グラフで、求人倍率を折れ線グラフで、それぞれリーマンショック前後からの推移を表したものです。前回の就職氷河期はリーマンショックを契機とするものだったのですが、その出来事は2008年9月のリーマンブラザーズ投資銀行の経営破綻によるものです。表1にあてはめると、2009年卒業生が在学中で、2010年卒業生がまだ3年生の時期に当たります。(青の点線部分)
つまり、リーマンショック時に就職活動をしていた学生(2009年卒)生への影響はさほど大きくなく、直接影響を受けたのは次学年以降ということになります。
これは、リーマンショックは9月だったため、当時4年生の大半は就職活動を済ませていた点が今回とは異なります。今回のコロナ禍は就活生がこれからいよいよ企業説明会という就職活動初期の段階でしたので、リーマンショック時の学生と比べてより大きく影響を受けています。従って、今後随時発表される就職率も前年を下回ることが予想されます。
■1.53倍は下降局面の入り口
では、実際の求人数はどの様に変化しているのでしょうか。直近3年分の求人数について、従業員規模別の推移を表2に、業種別の推移を表3にまとめました。表2、表3とも、全ての項目が前年から10%~15%、場合によってはそれ以上減少しています。
もう少し具体的に見ると、従業員規模5,000名以上の企業の場合、2020年卒5万1,800人分、2021年卒4万3,600人分の求人数ですので、差し引き8,200人分の求人が消えていることになります。これは、東大学部卒業生の2.7倍分の求人が消失したことを意味します。
また、300名未満企業については、前年44万9,000人分から38万2,300人分へと、実に6万6,700人分の求人が消えたことになります。これは、埼玉県と千葉県の学部卒業生約5万6,000人分を大きく上回っています。
各企業は遅くとも9月以降、2022年卒の採用人数計画を立てるはずです。新型コロナの感染拡大がこれだけ長期に亘っている現在、来年の決算では企業収益は間違いなく減少すると予想されます。それに伴い、適正要員計画が更に下方修正されることも想像に難くありません。
杞憂に終われば良いのですが、リーマンショック時の失敗を繰り返さないためにも、早期の対策が必要となります。