ふるさと納税最多額の村は、村長さんが名営業マン

2020年8月26日 18:06

 2019年度に「ふるさと納税」額が一番多かった「村」はどこか。答えは、千葉県長生村(ちょうせいむら)。総務省によると寄付額、7億9250万円。ちなみに2位は北海道の中札内村(なかさつないむら)で、その差は約8000万円。

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 「村の税収は約16億円。寄付額から返礼費用を除いても約4億円」(読売オンライン8月13日)と大きい。房総半島の九十九里ガ浜に面した温暖な地域(村)に、何故かくも多額のふるさと納税金が寄せられるのか。

 村のホームページで返礼品を調べた。肉を初め16類:143品。確かに貝鮮魚の中に「ウニ」などが見受けられたが、「驚くような」品は見受けられなかった。村役場に電話をしてみた。「何故、寄付金がこんなに集まるのですか」と聞いた。電話口の向こうのスタッフの答えは「村長の、いわば営業努力の賜物です」だった。

 現村長の小高陽一は12年に当選、以来9年のベテラン村長。小高氏は「4年前から(5万円以上の)寄付者に対し、自ら電話をかけお礼を述べながら温暖な長生村をアッピールするようになった。昨年は約1500人に電話をかけたと聞いている。ふるさと納税額が1億円を超えたのは16年度。村長は、『来年も寄付しますよ』という言葉を引き出す名営業マン」と電話口のスタッフは嬉しそうだった。

 ところで同じ読売オンラインが8月14日に、「富士宮市(静岡県)では15年から返礼品に『墓参り・墓地清掃代行』を加えている」と配信した。「県境を跨いでの他県への移動自粛が求められた今年のお盆などは、受けているのではないか」と思ったが、今年を含め15年来申し込み数はゼロとか。

 墓地の清掃代行などをふるさと納税額の返礼品に、というのは興味深い。

 私の入ることになるだろう墓地は、生まれ故郷の群馬県前橋市にある。市営霊園。幸い年間1万円で、定期的に清掃をしてもらえる。そうした体制が整備されているから一安心。70歳を過ぎたいま、弟も間もなく70歳を勘案すると「墓参り・墓の清掃」に出かけることは日増しにきつくなっていかざるをえないからだ。

 翻って、いまの住処:埼玉県について状況をチェックした。8つの市・町がふるさと納税の返礼品として「墓地清掃」を選択肢に入れていた。例えば秩父市。市営の「聖地公園」で導入されている。私(弟)が住む所沢市からは特急電車を利用すれば1時間余りで着く。

 新たに墓地(墓)を購入するには、相応の金額がかかる。だが存命の100歳の親父のことや、歳を重ねる我が身を考え合わせると・・・という思いにも駆られる。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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