【どう見るこの相場】『秋風ぞ吹く 白河の関』なら敢えて選挙関連株に回り道投資も一考余地

2020年8月24日 09:14

 連日の猛暑日、熱帯夜である。死と隣合わせのような酷暑のなか、ただ気が付くと夕刻には日が傾く時間が少しずつ早まっているように感じる。秋の気配である。平安の歌人のように『秋風ぞ吹く 白河の関』と詠む季節の移り変わりを実感する日ももう直ぐかもしれない。

 『秋風ぞ吹く』のは、白河の関ばかりではなさそうだ。どうも永田町に秋風が立ちそうで、つれて兜町に吹き下ろしてくるかもしれない。風元は、安倍晋三首相の健康不安説である。すでに公務に復帰し、首相の連続在任期間は、きょう24日に大叔父の故佐藤栄作氏を抜き歴代首位となるが、今年8月17日には慶応大学付属病院で約7時間半も費やして日帰り検診を受けており、メディアが揃って第1次安倍内閣当時に突如、辞任を表明した2007年9月の「悪夢再び」と囃し立てているからだ。

 この2007年9月は、兜町にとっても「悪夢」だった。投資家の大多数は、「内閣支持率の10%の上下=日経平均株価の1000円高安」との計算式を記憶されておられるだろう。安倍首相の辞任の直接の理由は、持病の潰瘍性大腸炎の悪化だったが、その前の7月の参議院選挙では、「消えた年金問題」や閣僚のドミノ辞任などで自民党が、野党の民主党に敗れて、参議院と衆議院の多数派が異なる「ねじれ国会」が現出した。この劣勢挽回へ党役員人事と内閣改造を断行したが、政局不安を敬遠する海外投資家も巻き込み、世論調査で内閣支持率がダウンするたびに、株価も下押し圧力を受け、計算式が流布した。

 「ねじれ国会」は、その後継内閣の福田康夫内閣や麻生太郎内閣でも変わらず、2009年9月の政権交代につながった。今回も、9月に党役員人事、内閣改造などが予定されているが、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の再開を両立させるかこなお道半ばである。第2次安倍政権以来の経済再生戦略「アベノミクス」も、景気の山が、が2018年10月と判定されてもう1年10カ月、後退局面をどう建て直すのかも問われている。衆議院議員の任期は、来年10月まであと1年2カ月、さしものの「安倍一強体制」も、官邸主導の忖度政策などのマイナスも目立ち、人心一新のためにも早期解散・総選挙の観測やポスト安倍の後継候補の下馬評などが強まっている。『秋風ぞ吹く』前兆かもしれない。

 もちろん週明けは、米国市場のS&P500種株価指数やナスダック総合株価指数の過去最高値更新を受け東京市場は、高寄りが予想されるが、米国株高にどこまで追随高できるかトライすることになる。ただ伸び悩んで上値が限定的となり、米国株離れが続くようなら、ここは回り道でも「秋風」の吹く行く先を見定めるのも一法となりそうだ。

 そこで、解散・総選挙があるのかないのか、安倍首相続投か後継内閣誕生かなどを巡って選挙関連株に早めの「秋支度」の迂回投資をお薦めする。定番銘柄の三羽烏に加え、コロナ禍でのネット選挙関連株、下馬評にのぼっている後継候補の政策関連のテーマ株など選択肢は多様となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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