みずほ、紙の通帳を有料化へ 発行に1100円 新規口座対象に21年1月から

2020年8月21日 20:08

 みずほ銀行は21日、紙の通帳を発行する際の手数料を導入すると発表した。2021年1月以降、新規口座開設時に通帳発行を希望する場合は1,100円(税込)の手数料が徴収される。発表によると、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を念頭に置いた「新しい生活様式」の一環としてデジタル化を進めるための施策で、ほかに印鑑の不要な取引の拡充や、手形・小切手の電子化促進なども進めてデジタル化を図る。

 手数料の改定は、2021年1月18日以降に新規で開設する個人・法人の口座が対象。同日より紙の通帳を発行しない「みずほe-口座」の取り扱いを開始し、Web上で最大10年分の取引明細が確認できるようになる。通帳の発行を希望する場合は1,100円の手数料が必要となるほか、繰越時にも同額の手数料が発生する。ただし、通帳の発行・繰越時に70歳を超えている場合は、無料で発行・繰越される。

 手数料の導入は新規口座のみが対象。既存の口座については繰越も引き続き無料で可能だ。ただし今後、一定期間記帳されていない場合は、自動的に通帳のない「みずほe-口座」に変更される。対象は毎年1月末日を基準として、1年間以上記帳取引のない口座で、普通預金、定期預金などすべての口座について適用される。なおこの場合も、通帳の発行を希望する場合は無料で発行する。

 通帳の有料化に踏み切るのは、大手銀行ではみずほ銀行が初めて。一方で、デジタル通帳への切り替えを促すキャンペーンなどの動きはすでに広がっている。

 印紙税法により紙の通帳には一口座につき毎年200円の印紙税が発生しており、長期的な低金利が続く中で収益環境が悪化している銀行にとってはコスト負担の元だ。すでにネット銀行では通帳不発行型の口座が一般的であるほか、海外でも通帳は発行されないことが主流であり、従来型の通帳は今後徐々に減少すると見られる。

 一方で顧客からは紙の通帳を重視する声も根強く、各行は難しい舵取りを迫られている。また、高齢層を中心としてインターネットの利用に馴染みのない顧客も多いため、通帳の一律廃止は現実的ではない。みずほ銀行も今回の改定では70歳以上の顧客を対象外とすることで、一定の配慮を示した形だ。(記事:万嶋せら・記事一覧を見る

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