HV・PHV・EV世界市場、20年は縮小 21年には回復しEVがHVを超える見込み

2020年8月16日 08:07

 今年2020年は中国、欧州市場に牽引されてHV・PHV・EVなどのエコカーの世界市場が大きく拡大すると見込まれていた。しかし、新型コロナパンデミックの影響で世界の自動車市場全体が大きく落ち込みエコカーの市場拡大も来年以降に持ち越される見込みだ。

 9日に総合マーケティング業の富士経済がHV・PHV・EVの世界市場調査の結果を発表しているが、これによればHV、PHV、EVを合計した19年の市場はEVやHVの好調から488万台と18年比14.8%増の高い伸びであったものの、20年は新型コロナの影響により販売台数が落ち込み19年比7.2%減の453万台と見込まれている。しかし、各自動車メーカーによる車種ラインアップの拡充が活発化しており、21年には市場は拡大へと回復する見込みだ。

 車種別に見ると、HVの19年の市場は263万台で、地域別には日本が市場をけん引しており欧州、北米が追従している。今後は日本のメーカーなどの注力により中国でも伸長していくとみられる。日本では安価で充電インフラが不要な点や内燃自動車よりも走行距離が長い点が好評で他の地域と比較してHVの普及率が高くなっている。トヨタやホンダ、日産も「e-POWER」をほとんどのモデルに展開する計画を打ち出しており23年までは拡大すると見込まれるが、24年以降はEVやPHVなどへ移行が進み市場は頭打ちになるとみられる。

 PHVの19年市場は58万台だが、大容量のバッテリーを搭載するためコスト高となり伸び悩んでいる。しかし、中国国内の環境規制やインセンティブ政策対応としてPHVの投入を行っており21年以降は拡大していく見込みだ。欧州市場は21年にCO2排出量規制のEURO6が施行されるため欧州メーカーを中心にPHVの積極的な投入が行われ中国と並んで市場をけん引するとみられる。

 EVの19年市場は167万台。中国市場で登録優遇や補助金などにより急速に拡大しており、環境規制が厳しくなる欧州が続いている。日本や北米では価格、走行距離、充電インフラ環境などで課題が多い。20年は新型コロナの影響で縮小の見込みだが21年には拡大に転じる見通しだ。

 現状ではHVの普及が先行しているが、今後はEV、PHVの普及が進み、特にEV販売台数は21年にHVを超えるとみられる。35年世界市場の予測はHVが675万台で19年比2.6倍、PHVは996万台、同17.2倍、EV1969万台、同11.8倍となっている。(編集担当:久保田雄城)

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