英語習得にはどんなに苦手でもスピーキング力重視でトレーニングすべき理由

2020年8月16日 08:31

 英語の4技能のなかで、日本人はスピーキングを特に苦手としている。TOEFLの平均スコアを見てもそれは明らかだ。TOEFLに限らず、4技能のうちでスピーキングが最も得意だという日本人は、ほとんどいないのではないだろうか。今回は、日本人が苦手意識の強いスピーキングこそ、英語の全技能の基礎をなすものであり、最優先で身につけるべき理由を紹介する。

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■言語の存在は話し言葉が前提

 スピーキングへの苦手意識から、日本人は英語に対して大きく誤解していることがある。それは、スピーキングこそ最高次の技能であり、他の3技能の能力を高めたうえで、ようやく獲得できるピラミッドの頂点のような能力だと思っていることだ。実は、これは真逆である。スピーキングこそピラミッドの土台を支える基礎的な技能であり、この土台を安定させないと、他の3技能の力を伸ばすのにも支障が出るのだ。

 世界には数千もの言語があるが、そのうちの大半は文字を持っていない。ということは、世界の言語の大半は、会話による意思疎通のみで成り立っているわけで、リーディングやライティングの技能はそもそも存在しないということである。このことからも、スピーキングこそ言語において必須の機能を担っているものであり、読み書きは副次的な要素に過ぎないことがわかるだろう。

 人類の歴史を見ても、数万年前から言葉でのやり取りはあったわけだが、書き言葉が登場したのはせいぜいここ数千年である。また、個人の言語習得の過程を考えても、まずは話し言葉を自然に身につけ、読み書きはその後で人為的な努力で習得するわけだ。つまり、リーディングやライティングで使用される書き言葉というものは、話し言葉をもとに人工的に作られたもので、話し言葉なしには存在しないということである。

■4技能を総合的に身につけるしかない

 このように考えると、どんなに苦手意識を持っていようと、英語を本当に身につけたければスピーキングの習得こそ第1に目指すべきことが理解できるのではないだろうか。「仕事で必要な英語メールを読み書きできる能力さえあればよい」や、「洋書を読めるようになればそれでよい」という考えもあるが、そのアプローチで取り組んでも使える英語にはなりにくい。

かといって、「会話だけできて、読み書きはできなくてよい」という人もほとんどいないだろうし、それでは仕事や勉強にも役立たない。よって結論としては、スピーキングを土台としつつ、他の3技能も総合的に身につけることが英語を習得する最短の道ということになる。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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