帰省巡り対応分かれた青森と愛知の知事、長く続くコロナとの戦いに相応しいのはどっち?
2020年8月7日 18:04
新型コロナウイルスが感染拡大の勢いを増していると錯覚するように、感染者数の増加が報じられている。
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感染確認初期の日本では、重症患者も軽症患者もひっくるめて医療対象とする方針は取られなかった。医療提供体制の崩壊を招かないように、原則として37.5度以上の体温が4日以上継続していたり、強い倦怠感や呼吸困難症状が認められる人を対象にして、帰国者・接触者相談センターに相談することにしていた。もちろん、高齢者や特定の基礎疾患がある人、免疫抑制剤や抗がん剤等の使用者と妊婦に対しては、弾力的に運用されていたことは言うまでもない。
その後、国内の医療体制が落ち着いてきたことからPCR検査の対象者が拡大され、従来に倍する検査が行われていることから、感染が確認される人数も大幅に増加している。全ての感染者を焙り出しているとは言えないが、フェーズが変わったことを感じさせる段階となり、感染者の把握が従来よりも格段に進んだと言って良い。
仮に初期から現在まで、一定割合の感染者が存在していたと考えると、PCR検査対象者が増加すると感染確認者も増加することは当たり前のことである。その当たり前のことを捉えて、「第2波が始まった」とか「非常事態だ」と不安感を煽る例が目に付く。
テレビのワイドショーが「大変な状態になっている」感を強調することは、マスコミが持つ業(ゴウ)のようなものだとしても、自治体の首長から「営業の自粛」「営業時間短縮」「外出の自粛」を公に求められると、聞き流し難いのが日本人の特性だ。
例えば愛知県の大村知事は県独自の緊急事態宣言を発出し8月6日~24日の期間中、県境をまたぐ移動の自粛と、大人数の宴会や会食の自粛を求めた。お盆期間中を想定していることは明らかだが、愛知県内の感染者の大勢が軽症か無症状であるため、県内全域に休業要請は行わず学校の休校もしない。大袈裟な掛け声と、具体的な施策の間に整合性の欠如を感じる。
日本の新型コロナウイルスの感染者や死亡者が少ないことが世界の注目を集めている。現在でも愛知県も含めて日本のどこにも重症患者が続出し、医療崩壊が進んで死亡者が激増している地域はない。だから、大村知事が日本のどの地域からの感染者流入を防ごうとしているのかは見えてこない。
青森県の三村知事は4日の会見で、「一律に自粛をお願いすることは避けたい。感染対策は徹底して欲しいが帰省を妨げるものではない。県民も帰省する人々を温かく迎えて欲しい。新型コロナの流行前と同じように家族・親族・友達と接して貰いたい」と語った。
最近の感染者の大勢が軽症か無症状であることを踏まえてか、三村知事の、人の出入りを制限することなく、人と人との交流を大事にして欲しい、との語りに落ち着きを感じる。ふるさとへの帰省客を、穏やかに迎えようとする知事の姿勢には敬意を示したい。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)