ハイブリッド車もバッテリー上がりのクルマを救援可能 正しい接続知識を
2020年8月5日 07:54
ハイブリッド車(HV)が多くなったが、バッテリー上がりのクルマをレスキューするには落とし穴がある。親切心から、HVのことを知らずにバッテリー上がりのクルマをブースターケーブルでジャンプスタートさせると、HVが走行できなくなる危険性が高い。
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内燃機関のクルマしかない時代であれば、バッテリー上がりのクルマを助ける行為は、搭載されているバッテリーの大きさに注意すれば大きな問題になることはなかった。しかし、HVが世の中に増えてきた現代では、電気回路の構造の違いからHVでガソリン車などのジャンプスタートは基本的にできない。
しかしトヨタ・プリウスの場合、かつては、救援用端子を使い他のクルマのバッテリー上がりを救援することはできないと取扱説明書には記載があったが、現行プリウスの取扱説明書を熟読しても、その記載はなくなっている。
バッテリーが、HVと内燃機関では異なるという話も聞かれるが、実際は同じ鉛バッテリーであることに違いはない。ただ、HVは車内などに補機バッテリーを搭載するために、鉛バッテリーの出すガスが放出されないように密閉循環型としている。そのため、エンジンルームに搭載するタイプは、通常のバッテリーを新車から搭載している車種もある。
では、なぜ同じバッテリーなのにHVがバッテリー上がりのクルマを救援できないのかというと、それは救助用端子にケーブルを繋ぐと、充電システム保護のためにヒューズが切れるからだ。
HVの場合、エンジン始動時に補機バッテリーから流れる電流は20A~50A程度に設定されている。しかし、そこにバッテリー上がりを起こしたクルマを繋ぐと100A~600Aの電流が流れる。そのため、ハイブリッドシステムを守るためにヒューズが切れて、クルマは走行できなくなる。
そこで、どうしてもHVでバッテリー上がりのクルマを救援する必要がある場合は、救援用端子ではなく、直接補機用バッテリー端子にブースターケーブルを取り付ければ救援することが可能だ。
ただ、車種により補機バッテリーの搭載位置が異なるので、わからない場合は販売店などに問い合わせて確認する必要もある。
逆にHVがバッテリー上がりを起こした場合は、救援用端子にブースターケーブルを繋いでエンジンを始動できる。このように、HVがバッテリー上がりをした場合と、他車をHVで救援する場合とでは、方法が異なることを理解しておく必要がある。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)