北米日産、後席うっかり子供忘れ防止警報を12車種で標準設定

2020年7月27日 17:45

 北米日産は、Nissan Rear Door Alert(日産 リアドア アラート、RDA)を、キックスなど3車種に追加し、全12モデルに採用したと発表した。このシステムは、出発前後のドアの開閉を検知するシステムで、出発前にドアが開いたのに到着後にドアが開かないと、インパネにドアの開閉がないことを表示する。それでもドアの開閉をせずにクルマをロックするとホーンで注意を促す仕組みだ。

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 北米では、平均して毎年37人の幼い子供たちが暑い車内に放置され、命を落とす事故が発生している。この痛ましい事故を防ぐため、日産では、2018年にテラノの後継モデル「パスファインダー」というSUVに初めてRDAを標準装備した。

 その後2019年モデルでは、アルティマとローグを含む4車種に標準装備を拡大し、2020年には12車種に標準装備されることになった。今後、日産ではインテリジェントセーフティシールドテクノロジーをスローガンに、2022年までに全ての4ドアトラック、セダン、SUVにRDAテクノロジーを導入するという。

 日本市場では、トヨタ・シエンタ、スバル・フォレスターなどで後部座席荷物等の置き忘れ警報を導入しているが、北米日産で導入されている警報装置のように、クラクションまで鳴らして警告する装備ではない。特に、このホーンを鳴らして警告するのは自動車業界初ということで、ドライバーに後部座席のことを思い出させることに大きな威力を発揮する。

 北米日産において、いち早くこのような先進技術が導入されることは、幼い子供の置き去りが社会問題化していることが挙げられる。このような問題を解決するために、オハイオ州では新しい法案を考えており、通過すれば、全てのクルマに検知技術を装備しなければならないだろう。

 日本でも毎年、幼い子供が暑い車内に置き去りにされ、痛ましい事故に発展するニュースが後を立たない。JAFの実験によれば、外気温度が35度の時に、エアコン停止からわずか15分で車内が熱中症危険温度の31度を超えることがわかっている。

 すでに海外で確立している日本の自動車メーカーの技術が、同じ問題が起きている日本で導入されないことに疑問が起きる。クルマの中が暑くなっても幼い子供はチャイルドシートのベルトを自分で外して車外に出ることはできない。もちろん保護者の自覚が重要なことは言うまでもないが、日本でもこのようなセーフティテクノロジーは必要ではないだろうか。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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