マーケットで存在感を増すロビンフッド族とは
2020年7月22日 17:52
●先見の明のある投資家が多い?
米電気自動車(EV)メーカー・テスラが、時価総額で世界の自動車メーカーのトップに立ったことは記憶に新しいニュースであるが、「ロビンフッド」の利用者で、テスラ株を持っている利用者は2018年からの約2年間で400%余り増加している。この2カ月(7月15日時点)でも48万人となり、2カ月で2倍以上に膨らんだ。
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●ロビンフッドとは?
ロビンフッド・マーケッツは、2008年のリーマンショック後のウォール街批判に触発され、収入に関わらず誰にでも出来る金融サービスを目指し、2013年に創業されたスマホ証券のフィンテック企業である。
ロビンフッドは手数料無料の株取引アプリで、ミレニアル世代からの支持が強く、利用者の平均年齢も30歳前後で、株取引の初心者も多い。「ロビンフッド族」とは、ロビンフッドを利用した投資家のことを指す。
株式取引手数料が無料というのは革新的だが、シンプルで使いやすいところや、親しみやすいデザイン、一般向けな預金額という庶民的なところが人気を博している。
これまで株式投資に興味がなかった、もしくはハードルが高くて出来なかった35歳以下の若い世代でも、ゲーム感覚で投資できるようになった。
●コロナ禍で存在感 ロビンフッド族の時代!?
コロナ禍で、試合が観戦できずに時間と資金を持て余しているスポーツ賭博ファン、ラスベガスに行けないギャンブラーなども自宅でデイトレードに転向し、ロビンフッドの2020年第1四半期の新規証券口座開設は、過去最高を記録した。
新型コロナウイルスの感染拡大により、S&P500は短期間で35%下落したが、3月下旬から6月の初旬までに45%上昇に回復したのも、ロビンフッド族の影響も指摘されている。
5月に破産した大手レンタカーのHertz株が値上がりしたこともあった。機関投資家が考えつかないような発想で投資をするため、予測不能な相場になってしまう恐れがある。
ロビンフッド族が一大勢力になることで、マーケットに新たな風を巻き起こすことも期待されるが、刹那的で投機的な取引になることは決して好ましくはない。6月には、表示の誤読で巨額の赤字を背負い込んだと悲観して自殺した大学生もニュースとなった。ゲーム感覚で投資が出来てしまうことには、負の側面もある。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)